F&Aレポート

「準備スピーチ」を成功させる「原稿づくり」

「準備スピーチ」を成功させる「原稿づくり」

 「準備スピーチ」とは文字通り、「準備できるスピーチ」のことを言い、準備できないスピーチは「即興スピーチ」と言います。

 式典、記念行事での挨拶や祝辞。会合でのスピーチ、社内のプレゼンテーションなどの任命を受けたら、たいていの人は原稿を準備し練習をすると思います。(何も準備せずにぶっつけ本番で臨む人は、よほどの数をこなして自信があるか、心臓に剛毛が生えている人でしょう)

 さて、かなりの時間と労力をかけて原稿の準備をしても上手くいかない場合もあります。今回は成功する「原稿づくり」をご紹介します。

1、時間厳守「原稿」の分量は、持ち時間の8~9割にとどめる

 もしあなたが「5分ぐらいの挨拶をお願いします」と頼まれたら、どのぐらいの文字数をイメージしますか?

 基本的に400字詰め原稿用紙1枚が1分です。話すスピードには個人差があるので350字~400字が1分のボリュームになります。5分の挨拶だと原稿用紙5枚分で、およそ1,750字~2000字ということになります。

 パソコンを使用する場合は、原稿用紙をダウンロードするか、ワードであらかじめ文字数を設定してから原稿を作成すると良いでしょう。

 ただし、実際に原稿を作成するのは、持ち時間の8~9割に見積もります。5分間は300秒です。5分の挨拶なら実質240秒~270秒程度=4分~4分半という長さになります。

 理由は二つあります。ひとつは、式典などの行事は進行が「押す」(予定よりも遅れる)ことが多く、短めに切り上げる方がベターということがあります。

 二つ目の理由は、現在では好ましくない言い回しですが「スピーチと女性のスカートは短い方がいい」の通り、長い(長いと感じさせる)スピーチは嫌われることはあっても好かれることはないからです。要領よく短くシャープにまとめましょう。

2、「書き言葉」から「話し言葉」へ。原稿をリボーンさせる

 書き言葉には、あらたまり過ぎている表現や、くどい言い回しになっている部分があります。または、一文が長過ぎて主語と述語が呼応していないこともあります。

 出来上がった原稿を口に出して読むとはじめて、その違和感に気づきます。かしこまって普段使わない言葉を使おうとすると本番で間違えたり、言いよどむことがよくあります。(それによって自身の緊張度が一層高まることも)

 スピーチもプレゼンも、使い慣れた言葉で語るのが上手い話し手であり、わかりやすい話になり、概ね好意的に受け止められます。

 少なくとも5回は口に出して読み、できれば誰かに聞いてもらうか、自分で録音するなどして聞いて、原稿をリボーンさせましょう。

3、本番用「MY原稿」にブラッシュアップ

 本番では原稿は堂々と持って出ましょう。一字一句覚えるのは大変危険です。(暗記できる人はやっていただければいいのですが)原稿を見ながら話すのは恥ずかしいことではありません。一国の首相だって原稿を見ながら国民に語りかけるではありませんか。

 ただ、原稿をただ棒読みするのはやめましょう。アイコンタクトを取り、間を取り、原稿から顔を上げて語るように読むのです。

 そのため、原稿にはたくさんの「印」をつけるのです。「顔を上げて読む」「間をとる」「ゆっくり読む」「大きな声でメリハリをつける」など、赤文字でもマーカーでも、アンダーラインでもいいです。文字を大きくしたり、行間をあけてもいい、要は自分がわかればいいのです。こうして出来上がった「MY原稿」を胸ポケットから取り出して堂々と述べましょう。これだけ準備をすれば、原稿がなくても8割方は話せるぐらいになっていますが、保険のために原稿は持って出ましょう。「準備スピーチ」は準備がすべてです。