F&Aレポート

間違えやすい日本語100選2 ~「心血を傾ける」「身入りのいい仕事」?

間違えやすい日本語100選2 ~「心血を傾ける」「身入りのいい仕事」?

意味はわかるのだけど、よく考えてみると「?」という表現があります。SNSは誰でもノーチェックで全世界に向けて情報発信することを可能にしました。気をつけていても、つい間違った表現になってしまうこともあります。日頃よく使う言葉こそ見直してみたいものです。(参考:間違いやすい日本語100選

1、 「心血を傾ける」 → 「心血をそそぐ」

 「心血」とは「心と肉体」を意味します。「心血」は傾けるものではなく「そそぐ」という表現を使います。全ての心(精神)と肉体を駆使して全力で取り組むことを「心血をそそぐ」と言います。「全力を傾ける」と「心血をそそぐ」を混同しないようにしましょう。

2、 「身入りのいい仕事」 → 「実入りのいい仕事」

 「実入り」は、農作物が実ることを意味するので、「実入りのいい仕事」とは「実りのある仕事」すなわち「利益がたくさんでる仕事」を意味します。
「自分自身に入る利益」というイメージから「身入り」と勘違いしてしまいがちです。

3、 「青田刈り」 → 「青田買い」

 「青田買い」は、その年の稲の収穫量を見通して先買いすることを意味します。転じて、企業がリクルートで学校を卒業する前の早い段階から内定を出し、社員契約を結ぶことを意味します。「青田刈り」と言えば、戦国時代に相手の城の周りの稲を青いうちに刈り取ってしまい、収穫が少なくなるようにする作戦のことをいうので「青田買い」の意味で使うと誤用になります。

4、 「眉をしかめる」 → 「顔をしかめる」

 「しかめる」は、顔や額にしわを寄せて不満、不機嫌を表す表情のことをいいます。
「眉」はしかめるものではありません。嫌悪感などの感情を表す「眉をひそめる」と混同してしまいがちですが、「眉をしかめる」ではなく「顔をしかめる」です。

5、 「明るみになる」 → 「明るみに出る」

 「明るみに出る」は、隠されていたものが「明るみ」に出てくること、つまり「明るい」ところに出て明らかになることを言います。「明るみになる」はまちがいです。

6、 「過半数を超える」 → 「半数を超える」

 「過半数」自体、「半数を超える」という意味になります。「過半数を超える」だと、重複した表現になるので間違いです。「過半数に達する」「半数を超える」という表現が的確です。

7、 「取り付く暇がない」 → 「取り付く島がない」

 航海に出ても立ち寄る島がなくどうしたらいいかわからなくなることを「取り付く島がない」と表現します。転じて「途方にくれる」様子を意味します。
 「取り付く暇がない」は、単純に「島」と「暇」を取り違えた誤用ですが、案外間違って使っている人は少なくないようです。

8、 「考え深い」 → 「感慨深い」

 「娘が結婚して、灌漑深い」などと言いますが、しみじみと感じ入るものがある様子や、感じ入っていることを「感慨深い」と表現します。「感慨」の言葉そのものが「心に深く感じる」という意味です。「感慨深い」は、感慨を十分に感じ取っている様子を表すので、「考え深い」とは異なりますが、音が似ているため勘違いしている人もいるようです。

9、 「雪辱を晴らす」 → 「雪辱を果たす」

 「雪辱」は前に受けた恥をすすぐ(雪ぐ)という意味で、洗い清める、ぬぐいとることです。
前に受けた恥を清めることを「果たす」ので、「晴らす」のではありません。

10、 「采配をふるう」 → 「采配を振る」

 「采配」は、大将が軍事の指揮を行う際に使う扇状の持ち物で、これを「振る」ことで軍勢に指示を出します。「ふるう」は勢いよく振り回すことになり、本来の意味から離れてしまいます。