風呂敷「平包み」と「お使い包み」
最近はおしゃれな包み方や、バッグとしてのアレンジも見かける風呂敷ですが、歴史は古く、物を包む布のようなものが奈良時代から存在していたそうです。
「風呂敷」と呼ばれるようになったのは室町時代。さらに江戸時代には、銭湯が発達したため、文字通りお風呂の道具を包んで庶民は銭湯へ行ったといわれています。銭湯では、他人のものと区別しないといけないので、風呂敷に家紋や屋号を染めるようになりました。
現代では「エコ」という視点でも見直されていますが、本来の風呂敷の代表的な包み方を二つご紹介します。
<平包み>
結び目をつくらず、風呂敷で四方をくるりと包んだだけの最もシンプルな包み方ですが、結び目がないので、「ご縁が解けない」縁起の良い結び方とされています。日常使いから冠婚葬祭の格式高いシーンでも用いることができます。
平包みは結び目を作らないので、風呂敷の絵柄がきれいに見えます。また生地を傷めることもありません。赤ちゃんを抱くように、胸の位置に両手で抱えると美しい所作になります。
<お使い包み>
風呂敷をひし形に広げ、品物を中央に置き、上と下の部分で品物を包み、最後に左右両端を中央に向けて折り、キュッと結ぶ伝統的な包み方です。中央の真結びが華やかな印象を与え包みが解けにくく、持ち運びにも便利です。胸の位置に両手で抱えても良いですし、結び目のところに手を通して手提げのようにして持つこともあります。平包みよりもややカジュアルなイメージになります。また<隠し包み>は、お使い包みをしたあとに、下の生地を引っ張り出し、結び目を隠すとしっかり包みながらエレガントな印象になります。
単に物を包むだけでなく「心」もふんわり包みたいものです。年末年始のお届け物に、あえて風呂敷を活用するのも粋な演出ではないでしょうか。