「偶数」か「奇数」か?
一般的に贈り物をするときは「奇数」がいいと言われています。これは「割り切れない」数のため、「ご縁が割れない」という意味があります。
たとえば、たくさんいただいたリンゴをお裾分けする時に、「1、3、5、7」の数でお渡しするという風に奇数個にします。
「四人家族だから4個」「ご夫婦お二人だから2つ」にはならないわけです(便宜上、そのようなケースもないわけではないのですが)。
ただし「3」は、ものによっては「『3きれ』=みきれ=身切れ」を連想させるので、避けたほうがいいと言われることもあります。また、奇数であっても「9」は、「苦」を連想させるので、あまり好まれません。
しかし、中国では「9」は陽の数の最大数なので、縁起のいい数といわれており、周知の通り九月九日は「九」が重なる「重陽の節句」は、大変おめでたい日とされています。
同時に、偶数は「割り切れる」「(ご縁が)割れる」数なのに、1ダースはどうなるの?また、お土産で買うお菓子などはたいてい6個入り、10個入りなど偶数になっているけど、大丈夫?などの疑問も沸いてきます。
たしかに、1ダースは12個、半ダースは6個という偶数ですが、これは1ケースに入っているため「1」=奇数とみなします。同様に、偶数個が入っているお土産も1箱ですので、「1」=奇数とみなされるのです。
なお「8」は偶数ですが、「八」と書き、末広がりのイメージがあるので縁起の良い数とされています。
「奇数」か「偶数」か?という疑問は、一見古いしきたりのようにも見えますが、令和の時代であっても贈り物だけでなく、ご祝儀、香典などのお金を包むときにも関わる、思いやりの作法のひとつと言えるのではないかと思います。