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「9月1日 防災の日」地図記号について

「9月1日 防災の日」地図記号について

 毎年9月1日は「防災の日」。この日を含む1週間(2021年は8月30日?9月5日)は「防災週間」とされています。そもそも「防災の日」は、1923年(大正12年9月1日) に発生した関東大震災にちなんでいます。そこで今回は防災となる「地図記号」について、国土交通省 国土地理院HPなどを参照しながらご紹介します。

1、東京五輪・観光立国に向けた取り組み

 かつて日本政府は、訪日観光客年間1,000万人を目指すとして「ビジットジャパンキャンペーン」をスタートさせ、表記の多言語化、それぞれの宗教に対応するためのメニューの用意など、様々な取り組みが行われてきた中で「新たな地図記号」の制定もその一つでした。そんな中、2016年3月には、国土地理院が外国人向けの新しい地図記号を制定しました。

 これは、東京2020オリンピック開催を見据えたものであったことは言うまでもありませんが、地図の元を作成している国の機関(国土地理院)が、国内の共通基準としての新たな地図記号を制定したのです。

 ちなみに国土地理院が定めた地図記号には著作権はありません。自由に使うことができます。

2、外国人にはわかりにくい日本の表記

 郵便局、交番、神社、教会、博物館、美術館、病院、銀行、ATM、ショッピングセンター、百貨店、コンビニ、スーパーマーケット、ホテル、レストラン、トイレ、温泉、駅、空港など15種類が、外国人向けに新しく設定されました。そのうち9種類は日本国内で使用していた従来の地図記号が存在しますが、外国人にはわかりにくいため、大きく変更したものもあります。

「郵便局」・・・従来は〒。これは明治時代の通信省のカタカナ読みの語源「テ」を記号化したものですが、日本独自の記号で外国人にはわかりにくいという意見が相次いだため封筒のイラストになりました。

「交番」・・・従来は警棒を交差させた記号でしたが、外国人からは「進入禁止に見える」などの意見が寄せられ、警官が敬礼している姿に建物のデザインになりました。

「病院」・・・十字をホームベース型の枠で囲った地図記号(旧陸軍の衛生隊のマークをもとにデザイン)を使用していましたが、「教会に見える」「お墓のよう」「旗のよう」「盾に見える」などの意見があり、十字に建物を組み合わせるという結論になりました。

「ホテル」・・・Hotelの頭文字のHを○で囲んだ地図記号を使っていましたが、「病院と間違える」「ヘリポートに見える」「ドイツだとバス停を示す」などの意見が多かったため、ベッドに人が寝ているデザインを採用することにしました。

 また、最終的に決定を見送ったものとして、寺院を表す「卍」があります。「ナチス、ドイツを連想させる」などの懸念が多数寄せられたため、三重の塔のイラストを採用するなどの案が検討されていましたが、「三重の塔ではわかりにくい、寺社と混乱する」などの異論も続出し、決定が見送られています。

3、「自然災害伝承碑」

 西日本災害から1年後の2019年、新しい地図記号として「自然災害伝承碑」の地図記号が設定されました。洪水、地震、津波、火山など自治体の申請を受けたおよそ160か所が掲載され、国土地理院のウェブ上の地図「地理院地図」で見ることができます。例えば西日本豪雨で大きな被害が出た、広島県坂町小屋浦地区の地図の左側にある「情報」という部分をクリックすると、リストの中に「自然災害伝承碑」という言葉が出てきて書かれている内容も見ることができます。国土地理院は今後、自治体の申請を受けて掲載を増やしていく計画です。