F&Aレポート

今に残る歌舞伎ことば

今に残る歌舞伎ことば

 「愛想づかし」「板につく」「市松模様」など、私たちが日頃使っている言葉の中には、歌舞伎から派生したものも多くあります。言葉が生まれた背景にも思いを馳せてみましょう。

「愛想づかし(あいそづかし)」相手に対して好意や愛情をなくすことや、その態度を言いますが、歌舞伎では、相思相愛の男女が縁を切る場面をいいます。「縁切場」ともいいます。

「板につく(いたにつく)」動作や態度が、その職業や立場によく似合っていることをいいますが、歌舞伎では俳優の演技が舞台に調和していることをいいます。

「市松模様(いちまつもよう)」東京2020オリンピックのエンブレムにもなっていますが、色違いの正方形を互いに組み合わせた模様。寛保元年(1741年)、初代佐野川市松がこの模様の衣装を着たことから、女性達も競ってこの模様を着たため大流行し、市松模様と呼ばれるようになりました。

「お家芸(おいえげい)」得意とするものをいいますが、歌舞伎では家に代々伝わる得意芸をいいます。

「大詰(おおづめ)」物事の最終段階。歌舞伎では長い作品の再終幕のことをいいます。江戸では、一日の長い作品を一番目(時代物)と二番目(世話物)に分けて上演していました。一番目の最後の幕を大詰、二番目の最後の幕を大切(大喜利)といっていました、

「切り口上(きりこうじょう)」形式張った堅苦しい言い方。歌舞伎では一日の興行の終わりに座頭が述べる口上をいいます。

「三枚目(さんまいめ)」おどけた人。劇場看板の3枚目には道化役の名前を書く習慣があったことから端を発しています。ちなみ1枚目は主役、2枚目は美男役でした。