日本語トレーニング はなす・きく・よむ(3)最近気になることばづかい 1.×「このたび、ご参加していただきました○○様です」
1、×「このたび、ご参加していただきました○○様です」
ぼんやり聞いていると特に違和感はないかもしれませんが、「ご」+「いただく」の場合は、「して」を外します。「ご」をつけるなら、「ご参加いただく」です。「していただく」に「お」「ご」を付けた時、つい「“ご”参加“して”“いただく”」と言ってしまいがちですが、これは文法的には間違いです。
○参加していただきました
×ご参加していただきました
○ご参加いただきました
○参加してください
×ご参加してください
○ご参加ください
※「私が、お電話します」「こちらから、ご連絡を差し上げます」の、「お」「ご」について
私がする「お電話」や「ご連絡」は、相手を間接的に立てる謙譲語です。自分の行為であっても、それは相手を立てるためです。「あなたがかけられるお電話」や「あなたが書かれたお手紙」などは、相手を直接立てる尊敬語です。
○ 私がかけたお電話
○ お客さまがかけられたお電話
2、×「田中様でございますか?」
○「田中様でいらっしゃいますか?」
「ございます」は「です」「あります」のさらに丁寧な表現ですが、自分のことやものに対して使います。「私は、田中でございます」など。相手側のことを話すときには「いらっしゃいます」のほうが適切です。また、「いる」を「ございます」とするのは間違いです。下記の場合は、「いる」の謙譲語「おります」に直します。
×「わかりやすい説明書になってございます」
なっている → なっております
×「書類はこちらに入ってございます」
入っている → 入っております
×「お品物は到着してございます」
到着している → 到着しております
×「お席は空いてございます」
空いている → 空いております
3、「~させていただきます」の過剰な使用
×「自社に5年ほど、勤務させていただいております」
○「自社に5年ほど、勤務しております」
×「弊社が研究させていただきました新技術を発表させていただきます」
○「弊社が研究しました新技術を発表いたします」
○「(結婚式の招待状に)出席いたします」
○「(結婚式の招待状に)出席させていただきます」
「させていただきます」は、「あなたの許しを得て○○する」という意味です。そのため、相手と直接関係ないことまで「させていただく」と言うと耳障りです。
結婚式の招待状の返事で「出席させていただきます」は、相手からの出席依頼を受け、相手の厚意を得て出席させていただくので適切です。丁寧さが足りないと感じるときに、つい「させていただく」を使いたくなるのですが、要注意です。