F&Aレポート

遠い日の記憶が蘇る。春に使いたい言葉

遠い日の記憶が蘇る。春に使いたい言葉

 立春が過ぎて暖かい日が続くと、なぜか心が浮き立ちます。冬の間、枯れ枝のように見えた木々の先に小さな芽が出ていたり、昨日まで着ていた厚いコートが急に重たく感じられたり、外を歩くのが億劫でなくなったり。小鳥がくちばしで餌をツンツンとついばむように、春の兆しは私たちのライフスタイルに小さな刺激を与えてくれます。今回は今の季節に口に出して使ってみたい言葉をご紹介します。

1.冴え返る(さえかえる) 立春を過ぎて、いったんゆるんだ寒さがぶり返すこと。寒のもどりとも言う。
「冴える」は辞書によると(1)冷える(2)光、音、色が澄む(3)腕前などがあざやかである。ピンと張った感覚を表す「冴え」が春の寒さの様子を見事に表現している。

2.杉形(すぎなり) 杉の木がそびえているような形。上を高くとがらせ、下を広く安定させた三角形をいう。
花粉症の人にはムズムズする言葉かもしれないが、古くから杉は日本人に親しい木。材木も電柱も昔は杉の丸木だったという。都会に育ち、杉を見た事ない人でも杉の木の形といえば、三角形の木が容易に想像できるのではないか。杉形は、霊前や神前の供物を盛るとき、料理の盛りつけなどでもいわれる。

3.はんなり 代表的な京ことば。上品な明るさ。視角だけでなく、聴覚や味覚としても使う。賑やかさを差し引いた華やかさを表す。
けばけばしくなくて、明るくて、どこかしっとりしている。あかぬけた京都の美意識が感じられることば。「きれい」「かわいい」だけではない美の表現。この言葉を使うだけで、美意識の高さを感じさせるかもしれない。

その他.
「朧月」(おぼろづき)、「花筏」(はないかだ)、「山笑う」(やまわらう)、「春泥」(しゅんでい)、「春の宵」(はるのよい)、「木の芽時」(きのめどき)、「春眠」(しゅんみん)、「風光る」(かぜひかる)、「春炬燵」(はるごたつ)などいかがでしょう?

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