F&Aレポート

アサーション 職場で役立つ面接技法 「自信がなさすぎる部下」と「自信がありすぎる部下」

アサーション 職場で役立つ面接技法 「自信がなさすぎる部下」と「自信がありすぎる部下」

■ 優秀な部下が配属されたら、仕事の効率は一気にアップします。とはいえ”できる部下”は、どの部署でもほしいもの。競争率も高い。しかしよく観察すれば、一見お荷物と思える部下の中にとてつもない原石があることもあります。そんな部下への対処法について。(参考資料:日本産業カウンセラー協会 JACO産業カウンセリング2月号)

1.自信がなさすぎる部下
 仕事に自信がなくて成果の出ない人はいるものです。その原因はさまざまです。失敗が重なって自信を失った人もいれば、性格として自己評価が低い人もいます。会社には、1しかない実力を10のように話す人もいれば、10の実力を1や2として表現する人もいます。前者のタイプは泳がせておけばいいのですが、後者のタイプは、本当は力が20や30になるかもしれないのに、10で止まっていることなります。それは本人にとっても会社にとっても損失です。
 つまり覇気がなくおどおどしているように見える部下なのに、仕事の受け答えや提出された書類などから仕事はできると感じる。そう思ったらチャンスです。

2.最も重要なのは指導の手順
 このタイプには指導の手順が重要になります。最初は肯定的で相手が受け入れやすい表現や言葉、内容を伝えます。褒めたり感謝する内容です。また相手の話を聞きながら心を開かせるのも大切。信頼関係が築けたら次のステップの注意、指導に移ります。
 たとえば、「君はすごくできる人だと思っているけど、なんとなく自信が持てないところがあるんじゃないか。やっていることが上手く伝わらないとか。もともと100ある自分の実力の20か30と低く見積もっているんじゃないか?」などと伝えてみます。
 褒めたり感謝したりする中で部下の心が開いていれば「そうなのかも」と思うものです。ところが信頼関係ができる前に注意や指導をすると心の扉は閉じてしまうので、そのあと、いくら褒めても無駄になるのです。だからこそ、上司は話の進め方を強く意識する必要があるのです。

3.ポイントはさりげなさ
 このタイプに重要なのは”さりげなさ”です。相手の話を聞く機会を作るときも自然にセッティングする必要があります。仕事中に呼び出すのは、やや危険です。上司に別室に呼ばれることになれば「何か問題を起こしたんじゃないか」と部内で噂になりがちです。そうした状況は、このタイプには益々自信を失わせることになるからです。
 もちろん、褒めるのもさりげなくです。これが意外に難しいのですが。ちょっとした動きを認め褒めることです。自信はないけれどちゃんと行動している。そこに注目するのです。たとえば「会議のあと、皆が見てないところで後片付けしてくれてくれてるよね。ありがとう」と。上司が部下の動きを観察するのは重要な仕事です。わかっていても褒めることが難しい人は、「あの人が君のことをこんな風に褒めていたよ」と伝える。または、誰かに「自分が褒めていたと伝えてもらう」という方法があります。間接的に聞けば素直に受け入れやすいものです。自分は認められていると思ってもらうことで信頼関係は構築されやすくなります。

4.自信を持ちすぎる部下の仕事の権限を整理する
 逆に自分に自信を持ちすぎるタイプもいます。たとえば、仕事をちょっと知っているなどの理由で権限がないのに余計な指導をするようになると反感が出てきます。たとえ正論であっても周囲の気持ちは収まりません。そんな状況を放置すれば当人はどんどん孤立します。このような場合は、まず部下の権限とやるべき仕事をチェックします。その上で部下と話し合い、仕事仲間に要求しているプラスαについては上司の仕事だから、自分に提案するよう話すのです。その要求や企画の善し悪しは上司が判断します。いわば組織の秩序を回復するのです。このタイプに重要なことは部下の能力を把握し、その要求を整理して当人の権限や立場を伝えていくことです。仕事のモチベーションは褒められることや認められることです。心に働きかけ信頼を得られれば仕事のパフォーマンスは上がります。