習慣は才能になる
先日、もとTBSアナウンサーの石川顕氏の講演を聴く機会がありました。石川氏は現役時代には主にスポーツの実況中継を担当されていました。そのため、プロの選手達が何を大切にし、どんなことを習慣づけているのかを間近で見聞きする機会が多かったそうです。講演会ではその体験をもとにプロ達の習慣について語られました。
たとえば「時間を守る」ということ。「社長との約束で、”3時に待ち合わせ”があったとする。そうすると、たいてい必ずと言っていいほど、3時前には待ち合わせ場所には着いていますよね。けれど、部下との約束ならどうだろう?もしかしたら”あー、ちょっと遅れるから先に始めておいて”と、少し遅れてしまうかもしれない。これはどういうこと?相手を尊敬していないってことですよね。社長なら約束を守るが、部下なら守らないって。こういう人は、部下の方もちゃんと見てるからね。廻り回ってそのツケは本人に返ってくる。相手が年下だろうが、誰だろうが時間をきっちり守る人というのは素晴らしい。王貞治さんは、約束の30分前には必ず到着する人だった。私は王さんご自身から、 プロとして”時間を守る”ことをとても大切にしているのだと聴きました」。石川氏はさらに「習慣は才能になる」と続けました。たとえば、プロ野球選手なら素振りをするというトレーニング。これを毎日続ける。いいときも悪いときも必ずバットを振る。そうすることで、それはただの習慣ではなく才能になっていくのだと。これは大リーグで活躍し今もなお記録を伸ばし続けているイチロー選手自身から聴いた言葉だそうです。華やかな舞台に立ち、圧倒的な存在感で私たちを魅了するプロ。その輝きを支えるのは、とても地味なことの積み重ねであるということを改めて思い知らされました。
挨拶や言葉づかいなど、マナーも一見地味なことばかりですが、マナーが習慣になると、ひとつの”才能”として人に認められるようになるのかもしれません。