F&Aレポート

あなたは日本語ペラペラですか11 ことばの印象「れ足すことば」「サ入れことば」「させていただきます」「○○的」

あなたは日本語ペラペラですか11 ことばの印象「れ足すことば」「サ入れことば」「させていただきます」「○○的」

1.「れ足すことば」
 「れ足すことば」って、耳で聞くと「レタスことば」。レタスのように瑞々しい言葉を想像するかもしれませんが、まったく関係はありません。これは、謝った言葉の使い方の一つです。具体的には、本来「飲める」というべきところを「飲めれる」と言ったり、「書ける」というべきところを「書けれる」と言ってしまうことです。つまり、余計な「れ」を足してしまうところから「れ足すことば」と言われるのです。
 ではなぜ、このような誤用が生まれるのでしょう。その背景には「ら抜きことば」の浸透があるかもしれません。ちなみに、「ら抜きことば」とは、「見れる」「食べれる」といった使い方です。

2.「サ入れことば」
 「サ入れことば」は「休ませていただきます」というところを「休まさせていただきます」といい、「読ませていただきます」というところを「読まさせていただきます」という言い方です。これは明らかな誤りです。
 ただ、文化庁の「国語に関する世論調査」では、次のような結果が出ています。次の例文を聞いて気にならないと答えた人の割合です。

「明日は休まさせていただきます」64.6%
「今日はこれで帰らさせていただきます」50%
「担当の者を伺わさせます」58.7%
という結果です。とは言うものの、「あなたの歌を聞かさせてください」と言われると変ですし「私が歌わさせていただきます」というのは、違和感を覚えます。

3.「させていただきます」
 それでは「始めさせていただきます」「務めさせていただきます」という表現はどうでしょうか。謙譲表現として正しい使い方ではありますが、この表現は相手の許可を得るときに使って謙譲の意味を表します。あまり多用すると慇懃無礼になり逆効果にもなりかねません。「それでは始めます」「私が務めます」の方が、嫌み無くすっきりとするのではないでしょうか。

4.「○○的」
 「私的には」「気持ち的には」などという表現を聞いたことがあると思います。2000年の「日本新語・流行語大賞」のトップ10の中に「私的」がはいっていました。
・色的に派手な車が通った
・この福は「長さ的」にはちょうどいい
・「気持ち的」には理解できます
 これらの表現で、「気持ち的」には3割の人が、「色的」「長さ的」は、約半数の人が不自然と感じています。「的」には、日本語の形容詞不足を補う小道具としての、便利な役割があります。「日本的」「感動的」のように「そうした性質を有する、いかにもそれらしい」といった使い方や、「政治的関心」「科学的知識」のように「それに関する、それに基づいた」といった使い方ができます。このように「的」には、幅広い意味を表すことができます。そして表現の輪郭をぼかして、語感を柔らかくする性質もあるのです。ですから「気持ち的には理解できます」は「気持ちは理解できる」とはっきり断言し、自己主張するよりも「気持ち理解できるけれど…」でも他の部分は理解できないと、えん曲的に相手の反応を伺うことになるのです。

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