新年度が始まりました。誰もが心新たに仕事に取り組みたくなる季節ではないでしょうか。職場にフレッシュな空気と緊張感が漂う今だからこそ、何を期待しているのか、より明確にする必要があるでしょう。「期待を明確にする」とは、何をすべきか、前もって考えを統一することです。「衝突というのは大概、期待に背いた結果である」(ブレイン・リー『パワーの原則』著者)という名言もあります。『スピード・オブ・トラスト』(スティーブン・M.R・コヴィー)より、スピードとコストへ影響する「期待を明確にする」行動についてご紹介します。
期待と信頼
職場や家庭で、期待を十分理解していないために、どれだけの時間と労力が浪費されているか?「これは君がすることになっていただろう」「それはいつまでに必要だったんですか?」「これが予算オーバーって、どういうこと?聞いてないよ」「いや、君はできないなんて一度も言わなかったじゃないか」などなど。リーダーの説明不足によって二度手間を強いられることは珍しいことではないだろう。
「期待を明確にする」という行動の根底には、明快さ、責任、そしてアカウンタビリティの原則がある。この行動の逆は、期待を曖昧にしておくことだ。
「何を期待しているかわかっているはずだ」と思い込んだり、単に知らせるのを怠ったりすると、各人の頭に描かれる、「求める結果」が違ったものになる。そして、生み出された結果が評価に値しないと、皆が失望し、信頼、スピード、コストすべてが打撃を受けるのである。
契約書はなぜ必要か
「お互いに信頼しあっていれば必要ないのに、我々はなぜ、取引の契約事項を書面にするのか」と、尋ねられたことがある。契約書によって期待を特定して明確にするのであり、その結果、信頼が維持され、さらには徐々に強化されもする、と私は答えた。口頭で合意しながら、最初の取り決め以外に期待を明確にしなかったり、担当者の変更に伴って取り決めの解釈が変更されたりしたために消滅してしまった契約があることを私は知っている。
信頼は書面での契約に生命、意味、そして理解を吹き込み、全体的にパフォーマンスを改善することができる。
家庭において期待を明確にする
夫婦間、親子間でも、役割や責任の期待が明確でなかったり、解釈に食い違いがあったりしてどれほどの失望やいざこざが生じることだろう。
例えば部屋の掃除と言ったら何をすべきか具体的に書き記せば、子どもたち(夫/妻)は理解できる。それですべてが解決するわけではないが、時間と労力の浪費を減らし、仕事の質を高め、信頼の環境を築くのには役に立つ。
ただし、一方通行の期待であってはならない
米国経営管理学会が最近行った調査によると、企業の非倫理的行動の最大の原因は非現実的な期待にある。社員たちは期待を伝えられ、それを遂行する期限や予算枠を示される。期限までに結果を出さなければというプレッシャーから、手抜きをするようになる。期待に応えるために非倫理的なことに手を出すのだ。
「期待を明確にする」という行動は、常に双方向の行動だということを念頭に置かなければならない。どちらの視点から見ても現実的な期待を設置できるよう、社員たちの意見も聞く機会を設ける必要がある。
期待を「定量化」する
「期待を明確にする」重要点として、まずは「定量化」することだ。どんな結果を誰がいつまでに出すか。コストはどうか。達成された時点をどうやって知るか。誰に対して責任を果たすか。結果を重視する方が一般的には効果的である。さらに、品質、スピード、コストという3つの要素のうち、二つは実現できても三つすべてを実現するのは不可能な場合が多い、つまりは選択の仕方である。
まとめ:自分が期待していることを相手に明らかにする。その期待について話し合う、 その期待を確認する。必要かつ可能であれば、話し合って期待を見直す。人の期待に背かない。期待は明確だとか、共有されているなどと思い込まない。
