F&Aレポート

アンガーマネジメント 怒りのコントロール「6秒ルール」

アンガーマネジメント 怒りのコントロール「6秒ルール」

1、「怒り」は正常な感情の表れ

 最近では、キレやすい子ども、キレやすいお年寄り(シニア)が社会問題にもなっています。なぜ、そうなるのでしょう?その原因のひとつは「怒りの感情を上手く伝えられない」ことが挙げられます。なぜ自分が怒っているのか、上手く伝えることができれば、私たちは必要以上に怒ることも、ストレスをためることもありません。

 アメリカでは、大企業がこのアンガーマネジメントを社員研修として取り入れたり、取スポーツ選手や政治家、子供達まで幅広い人々が学んでいます。日本でも最近注目されはじめ、社員のストレスマネジメントや、学校では子供達のアンガーマネジメントプログラムなどがあります。

2、「6秒ルール」怒りのピークは6秒

 怒ったときに絶対に避けたいこと。それは、イラッとした瞬間、反射的に言い返したり行動したりすることです。諸説ありますが、怒りのピークは長くて「6秒」と言われています。この6秒をやり過ごすだけで、最悪の事体は免れるといってもいいでしょう。

 なぜ、6秒なのか。私たちは怒りを感じると、ノルアドレナリンという神経伝達物質が脳から分泌されます。そのノルアドレナリンが体内をめぐって落ち着くまでが、個人差がありますが、およそ6秒といわれています。

 「6,5,4,3・・・」と、カウントダウンしたり、「100-6=94,94-6=88,88-6=82・・・」と、計算をしてもいいでしょう。野球の好きな人なら「バッター1番 田中、2番 菊池、3番 丸、4番 新井・・・」など、打順を数えても良し。なるべく大きな呼吸をして、ゆっくり数えます。視線を変えたり、深呼吸を2?3回するだけでも良いのです。

3、怒りの方程式

怒り・イライラ=(期待・要求)×(理解不足)

 たとえば、急いで車を運転しているときに、路地に車が止まっていると、「なんでこんなところに車を止めてるんだ!迷惑なヤツだ!オレは急いで客先に向かっているのに!」と、瞬間イラっとします。でも、よく見るとその車のドライバーは、道ばたで倒れた人の介助をするために、急遽車を止めていたのでした。

 そんな状況理解ができると怒りは変わってきます。このときの「こんなところに車を止めるなんて常識のないやつだ!」という気持ちが「要求・期待」。ドライバーの事情を理解するというのが「理解不足」(理解ができれば、理解不足は0)です。

 要求するものが0で、状況理解できていれば、怒りやイライラは発生しないのです。

4、怒りの感情の裏には、本当の感情がある

(1)第一次感情・・・不安、不満、悔しい、寂しい、悲しい、つらい、心配、、、
(2)第二次感情・・・怒り

 「怒る」の感情の裏には、実は「寂しい」「悲しい」「つらい」などの、第一次感情があります。怒りを感じたら、第一次感情に目を向けると、対処しやすくなります。

5、問題となる4つの怒りをチェック

(1)持続性のある怒り
過去のことが許せない持続性のある怒りです。怒りの感情を溜め込んで、それを上手く伝えることができていないのです。そのため、後になって「あのときは、こうだった」という恨み節になってしまうのです。
対処は、NOを上手く伝えられるようになることと、「今に集中すること」です。

(2)強度が高い怒り

一度怒り始めると歯止めがきかず、激しく怒鳴ってしまうような強い怒りのことです。怒りの強度が高い人は、怒りを上手く言葉にできない人が多いのも特徴です。対処法は、イラっとしたら怒りの度合いを10段階で表す「怒りの温度計」をつけて、どのぐらい怒っているか考えてみましょう。

 穏やかな状態を0、人生最大の怒りを10として自分の怒りの度合いを理解できれば、必要以上に強く怒らずにすみます。

(3)頻度が高い怒り

頻度が高い怒りとは、気持ちがささくれだっている状態です。聞くものや見るものすべてに引っかかってイライラし、ちょっとしたことで怒ってしまいます。

 対処法は、気分転換やリラックスする方法をいくつか用意することです。ただし、やけ酒、やけ食いは新たなストレスになるので要注意です。

(4)攻撃性が高い怒り

攻撃性がある怒りは、その矛先が「他人」「自分」「モノ」のいずれかに向かいます。他人に向くと、人とぶつかり健全な人間関係が築けなくなり、自分に向くと自暴自棄になり、モノに向くと、怒りを言葉にできず反射的に手元にあるものを投げたり、蹴飛ばしたりしてしまいます。

 対処法は、自分が怒りを感じたらその場を離れるか、深呼吸するか、手足、肩など体を動かしてみるなどしてみましょう。