ボストーク松山藤原塾

ゆず湯に入ろう!

皆さん こんにちは

【季節の話題】
昨日は冬至でした。冬至は二十四節気の一つです。1年を太陽の動きに合わせて24等分した中で、太陽が最も南に寄るため夜が最も長くなる日です。この二十四節気の基準は、春分と秋分で、こちらは昼夜の長さがほぼ等しくなる日です。暑さ寒さも彼岸までと言われるように、太陽の陽射しから見ると季節の変わり目です。二十四節気は古代中国で考案された暦なのだそうですが、しっかりと日本人の生活に根付いています。ちなみに、二十四節気で、冬至の次は年明け1月6日頃からの小寒、1月20日頃からは1年でもっとも寒い大寒となります。

冬と言えばマラソンです(少し無理な展開)。来年の愛媛マラソンは来年2月1日開催予定です。私の自宅はマラソンコースの沿道近くにあり、今の時期は多くのランナーが練習しているのを見かけます。一万人を超える人が参加する大きな大会ですが、今年は練習している人が少ないような気がします。気のせいかな。

気温と違って上がっているのが債券市場の金利です(これも無理なこじつけ)。今週も物価と金利について考えてみます。

3%物価が上がると仮定します。今まで100円だったものが103円になります。金融資産を見ると、金利が0%であれば金融資産の価値は物価上昇した分3%の価値が下がるので、価値を下げないためには金利は3%にする必要があります。物価が上がれば金利が上がるとはこのような理屈です(他にも要因はありますが)。しかし、金利は物価上昇ほど上がらないことがあるので、物価>金利となります。これがマイナス金利と言われるところです。

人件費も同じように見ることができます。人件費も3%上がらなければ、物価上昇より低い、実質賃金はマイナスということになります。これが今目の前で起きている経済的な現象です。冷静に見れば当たり前のことなのですが、多くの日本人は30年間続いたデフレ経済の中で、物価は上がらない+ゼロ金利の感覚が根付いてしまっているので、発想の転換がなかなかできないところがあります。

次に為替の面から物価を見てみます。1ドル150円が155円になると、円の価値が3.3%下がります。米ドルで輸入する場合、ドルベースでは同じでも、円に引き戻すと3.3%の上昇となります。つまり、輸入物価は3.3%上昇することになります。国内物価の上昇を避けるためにはどうすれば良いか?円高に持ち込む必要があります。米国よりも日本の金利を上げればお金が円に流れてくるので、円高に動きやすくなります。

先週、日本銀行が政策金利を上げると表明しました。これは日本が金利を上げるというメッセージだったのですが、市場の人たちはそのメッセージが弱い=あまり大きく上げる意思はないみたい、と判断したので円安解消にはあまり結びつきませんでした。そこで業を煮やしたのが財務省です。日本政府が大規模にドルを買って円を売る為替介入を実施する可能性を示唆しました。この介入措置は、規模が大きな為替市場全体を動かすことはできませんが、そのタイミングでの取引で思わぬ損失を蒙る可能性があるので、円安に向かう取引を引き留める効果があります。

この原稿を書いている時点では、円高+金利低下の動きが見られます。さて、明日のマーケットはどうなるのでしょうか?

先週は与党から税制改正大綱が発表されました。ほぼ新聞に報道された内容でした。このことはまた取り上げたいと思います。

【今週考えたこと!】
日中関係がこじれてうまくいっていません。そのきっかけになったのが高市首相の国会答弁です。これに関連する下記の記事を読んで思ったことがあります。

話は簡単に、そして面白おかしくした方が受けます。芸人ではないとしても、受けることが良いように思われます。特に政治家の場合は、話す内容が難しく複雑なだけに、スパッと切ったように話すと「よく言った!」ということになり、支持者には受けるのでしょう。時に言いすぎて舌禍となることもありますが、高市首相の場合は彼女なりにしっかり考えての発言だったのだと思います。しかし、その結果が外交の混乱です。もし、官僚が用意した答弁通り話していれば、何も問題は起きなかったかもしれません。官僚の言葉は私も面白くありませんが、あえて外交問題を荒立てる必要もないでしょう。

言いたいのは、日本と中国、どちらが正しいかということではありません。外交として、政治家としてどのように対応すべきだったか、という問題です。

政策を語る言葉は難しいです。高市首相の発言に下記のようなものがあります。「財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保していく観点から中期的に債務残高対国内総生産(GDP)比の引き下げを安定的に実現する」これがどのような意味なのか?私が理解するところで、簡単な言葉で表現するとこうなります。
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財政の問題がマーケットの信頼を得るためにも重要であることは分かっている。そのためにも、国債の残高について、すぐに減らすのは無理だし、当分の間、絶対額が増えるかもしれないが、GDPとの比率では減らせるように努力する。────────────────────────────────
いろいろな条件や背景があると思いますが、それは無視している点はご了承ください。

もし、首相がこのまま言ってしまったら市場は大混乱になる可能性が高いです。国債が増えることを容認する、GDPはインフレによって名目値は上がっていくので、国債の増額をインフレ以下に抑えれば、比率は下がる、ということです。結局、国債は増やしていくよ、と言っても良いくらいの話ですね。そうなると、日本の財政赤字はますます膨らむことが予想され、円に対する信頼低下から円安+金利上昇につながります。今までは、デフレ経済下で大きな変化は起きませんでしたが、市場の変化が激しい現在はいつ何が起きるか分からなくなってきています。そのような時代だから、目の前で起きていることを正確に読んで、次を考えることが大切です。国民の側からも難しい時代の変化、言葉の意味を理解していく必要があります。難しい言葉だからと考えることを投げ出さず、丁寧に言葉の意味を追いかけたいものです。

【今週のAIネタ】


日本は産業用ロボットの世界市場で7割程度と圧倒的なシェアを持っていますが、これからはフィジカルAIと言われる人型ロボットの時代で、米中の技術が先行しています。フィジカルAIとはAIがロボットや機械を自律的に制御する技術で、自動運転車などが該当します。従来の産業用ロボットは事前にプログラムされた定型業務を繰り返すだけですが、フィジカルAIによるロボットになると工場の作業工程の中で不具合を察知したり、修正が必要な問題をチェックする作業を行うことが可能になります。

この部分をChatGPTと深掘りしました。現在考えられるAIの問題はここからです。不具合を発見したAIは、作業を修正するのか、いったん作業を止めて人間に報告するのか。当初想定された不具合であればAIが選択可能ですが、想定されていないケースではどうするか。どんな業務でもAIに任せれば終わりではありません。現場のことを理解して、問題が起きない、起きても問題解決につなげられる仕組みが必要です。AI開発を進める場合、このあたりの課題を理解して進めていくことが日本の競争力につながると思います。(金額は米国の1/30で全然かなわないけど)頑張れニッポン!

今、事務所では年末調整の作業に追われています。昨年に比べると、給与所得控除、基礎控除が引き上げられたので、還付金が例年より増えています。これを高市首相のおかげと思っている人がいますが、この制度改正を行ったのは石破前首相です。勘違いしないようにしましょう。


※このレターでは一般的な経済市場動向についての情報提供を行っているもので、特定の投資を推奨又は勧誘するものではありません。