ボストーク

湊町レター Letter From Minato-machi 2022年4月1日 №129

弥生から卯月に変わり、この原稿を書いている段階では桜の満開を迎えています。早いもので、今年も3分の1が経過しました。

さて、1ヵ月前に始まったロシアによるウクライナ侵攻(戦争)は第2次世界大戦以来の大規模なものと言われています。新型コロナの話題が戦争に置き換わり、世界は引き続き大変ですが、ここで問題を整理してみましょう。

[民主主義のあり方]今回の戦争は、ロシアをプーチンが主導する独裁国家であるとすれば、ウクライナは選挙で選ばれた民主主義を維持する国との闘いです。この民主主義は国家として非常に大切なテーマですが、現代は、民衆の間に不満が鬱積し、社会の格差・分断が拡大、民主主義の危機と言われる時代でもあり、改めて民主主義の意味が問われています。

[戦争の考え方]次に考えさせられるのは、戦争の形態です。当初は圧倒的な武力を誇るロシアが数日でウクライナを占領すると誰もが思ったかもしれませんが、1ヵ月を経た今、主要都市はロシア軍による破壊的活動を受けているものの、陥落にまではいたっておらず、逆に本国からの供給体制を断たれて、ロシアの方が劣勢であるかのような報道が多くなっています。例えば、米国製のジャベリン、英国製のNLAW、そしてウクライナ国産のスタグナといった対戦車ミサイルが、ロシア製の頑強な戦車を破壊していっています。これを日本について考えると、ウクライナのように防衛に対する明確なビジョンを持っているのでしょうか。

[国際問題の難しさ]ウクライナとロシアは兄弟国家と言われています。歴史を紐解くと、東スラブ民族によるキエフ公国がこの2つの国の源であり(東欧全体にも拡がります)、その後ソ連という連邦国家として統一されていたことは、多くの方がご存じだと思います。また、ロシアはナポレオンやナチスから攻め込まれる歴史を持っており、国を守るという意識が異常に強い国と言われています。経済面では、ウクライナはソ連邦時代から工業国(農業国でもあります)だったのですが、最近ではテクノロジー分野で注目される国になっていました。これに対して、ロシアは大国と言われながら、石油などの資源や武器を輸出する以外に強力な産業は持っていません。健全な市場原理が働かないので、技術面の進歩もありません。歴史、経済から考えると、この戦争の意味は一体何なのか、ここでも考えさせられます。

[情報の伝達]インスタグラムで「zelenskiy_official」と検索すれば、ゼレンスキー大統領のコメントを直接見ることができます。ウクライナ語が分からなくても、スマートフォンの翻訳機能ですぐに読めます(ロシア国内は遮断されて閲覧不能となってるようですが)。このように、今回の戦争は、政治、歴史、経済、軍事技術と様々な問題を世界に提起しています。日本にとっても遠い国の出来事ではなく、これをきっかけに深い議論が必要です。

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