ボストーク松山藤原塾

ドキュメント72時間

皆さん こんにちは

松山も昨日あたりから気温が下がってきて、深まる秋を感じられるようになってきました。先ほど事務所の窓から見た夕焼けはとてもキレイな秋の空でした。私も今日から衣替えです。

NHKが2013年から配信している番組で「ドキュメント72時間」というものがあります。HPによると「ファミレス、空港、居酒屋…。毎回、ひとつの現場にカメラを据え、そこで起きる様々な人間模様を72時間にわたって定点観測するドキュメンタリー番組。偶然出会った人たちの話に耳を傾け、“今”という時代を切り取ります。」と書かれています。

ふとテレビをつけたときに見たことがあって、面白いなと思っていたのですが、8月に新居浜の市民プールでの撮影があり、地元だけにじっくり見てみると、これが面白いです。このプールの利用料金は大人60円、子ども10円と開業以来の金額です。その料金もあってか、地元の人たちが利用しに来るのを72時間、つまり3日間にわたって撮影〜インタビューします。番組は、撮り直しはしない、インタビューは時系列に流すというシンプルなルールがあるだけなのだそうです。プールでは夏休みで来る子どももいれば、夜勤明けの人もいる(朝から撮るので夜勤明けというのはどこでも多い)。60歳超えた友達どうしでくる人もいる。子どものケンカを止める監視員おじさんも。その人たちの人生の一瞬がそこにあります。いろんな人生があるな、という一言では簡単に片付けられないのです。私たちの身の回りにいる人たちにはそれぞれの人生がある、それが全国のいろいろな場所にある。そんな当たり前のことがテレビを通じて実感できるという番組です。

新居浜がきっかけで、定期的に見るようになってしまいました。YouTubeにも傾向が似ている番組はあります。なのに、この番組はなぜ面白いのだろう。YouTubeだと、例えばラーメン屋を開店前から追いかけて、店主の人生を振り返るみたいなところまではよく似ています。が、YouTubeが追いかけるのは店主だったり、提供される美味しそうなラーメンだったり。客も軽く出るけどメインではありませんし、深いインタビューはありません。ドキュメント72時間の主役は客の方で、しっかりインタビューで語られるのは例えばその場所に来るようになった背景、つまりその人の人生そのものなのです。しかも飲食だけでなくデパートの化粧品売り場、路面電車(高知のとでん)、市民プール、長距離バスのターミナル等々、全国の様々な場所でカメラが回ります。さすがNHK。

もう一つ感じることがありました。撮影は日本全国で行われるのですが、東京、大阪といった大都市圏での取材は辛い、悲しい、重たいものが多いのです(すべてがそうではありません)。それは都会は1人で暮らしている人が多く、地方では人のつながりがしっかり残っているからかもしれないと思いました。両方に共通しているのは少子高齢化という日本の現実です。地方ではさらに厳しい現実が突きつけられるのに、笑ってる人が大都市よりも多い。朝から開いている大阪の居酒屋にはたくさんの人が来ていますが、1人客が少なくありません。夜勤明け、その店でいっぱい引っかけてウチに帰って寝る。X(旧Twitter)にこの番組が嫌いという投稿がありましたが、その理由は暗いからと言うものでした。確かに、どこか寂しいところがあって、特に大都市圏では孤独を感じます。都会だけにその孤独は重くて深い、のだと思います。Xで投稿した方は番組をしっかり見ているのかもしれません。

おしゃれなドラマではなく、科学や歴史を学ぶドキュメンタリーではなく、ただ笑うだけのバラエティでもなく、痛快なアニメでもなく、出てくるのはホントに普通の人で取り上げるテーマも普通なのになぜこの番組が良いのか?私が勝手に考えるに、72時間の中で登場した人と今一緒に生きていることを感じ、生きる元気をもらえるのではないでしょうか?少子高齢化という大変な現実があっても生きていく人たちと。放映は毎週金曜日午後10時です。まだ見たことがなければ、ぜひ一度ご覧になってみてください。ただ、テレビでなくても、現実の人の周りにもそんな人生はたくさんあるんですけどね。

続けて少し政治の話。

「現実はそんなに甘くないぞ」と言ってしまうとハラスメントになってしまう時代ですが、これから様々な難題にぶつかり、どんな選択をしたとしても必ず批判されるのが現実であり、世間です。新しい政権がその時にどのように対応するか、です。自分たちだけでは動けません、自分の思い通りにならないからと言って感情的になっても何も解決しません、周りのことを理解しながら、自分たちの経済力、技術力、コンテンツは磨いていく。経験のない者には想像できないストレスだと思います。しかし、何をやっても何を言っても批判されることがあります。高市さんは真面目な性格のようですから、ストレス過多にならないことを祈ります。もちろん、そんなことはご自身が十分承知だと思いますが。

クマの問題で自衛隊を出すことに法令上の問題がないのか話題になっています。住民の命を守るため自衛隊が出ていくのは多くの方も異論がないと思いますが、これが前例となって米国のように国内あちこちに軍隊が出て行くのも正常ではありません。なぜか小泉進次郎さんのところで問題が起きてしまいますが(この前はコメだったし)、それはさておき、政治としてどう判断するかが問われています。トランプさんも大事だけれど、日本の国民が困っていることにどう対応するのかという政府としてのこれからの対応を見守っていきたいと思います。

最後に、高市さんの笑顔良いですね。トランプさんの横にいても笑っていられる余裕。決して軽い笑顔ではありません。むしろ重たい。スーツの着こなしも素敵です。政治の中身はこれからですが、スタイルも政治には大事なセンスです。繰り返しになりますが、さてこれからどうなるか。

【今週のAIネタ】
2025年9月23日の記事で日産が英国のウェイブ・テクノロジーズのAI技術を使った自動運転の記事を取り上げましたが、AIによる自動運転がよりこの技術を来年早々にも実感できることになりそうです。伊予鉄グループが今月27日松山市内のバス路線である松山環状線7.4㎞を自動運転で営業すると発表しました。2月からは道後温泉と松山城間でも運行開始するそうです。この自動運転は、特定条件下で完全自動運転が可能な「レベル4」で、運転席には乗務員を配置しない全国初の取組だそうです。同社は昨年12月から伊予鉄道高浜駅と松山観光港を結ぶ路線で同じレベル4の自動運転を行ってきましたが、こちらは走行距離が800メートルで交通量が少ない区間の運行だったのに対して、今回は松山市中心部にある松山市駅から松山市南部エリアを走行しますので、交通量もそれなりにあり、踏切も通過します。先日、私も事務所の近くの公道を走っているところを見かけました。愛媛新聞掲載の記者の試乗レポートによると、AIで走る車は技術の進歩を実感したというものでした。人間の運転だと、右ばかりに注意して左側を見落としてしまうこともありますし、幅寄せしてくる車にイラッとくることもあります(プロの運転手は違うかもしれませんが)。AIは冷静だし、右と同時に左を見ることも、後ろを見ることもできます。すぐ近くを走る車ですので、来年早々に乗ってみたいと思います。

※この記事では一般的な経済市場動向についての情報提供を行っているもので、特定の投資を推奨又は勧誘するものではありません。