ボストーク

湊町レター Letter From Minato-machi 2014年11月1日 №41

 今年も早いもので、残すところ2ヵ月となりました。11月になって、服装が突然冬に向かって厚手のものに替わりました。つい数週間前まで、街に出ると、半袖や、ワイシャツ姿の人ばかりだと思っていたのに、そんな人はいなくなってしまいました。ただ、ビジネスマンは例外で、10月末段階で、スーツ姿でもネクタイを締めている人は少数派です。これは、環境省が提唱しているクールビズという地球温暖化対策の一環、冷房時の室温を28度でも快適に過ごせるようにというもので、その期間を5月1日から10月31日までとしています。官公庁や大手企業では、これに合わせて、同時期はノーネクタイとすることとされています。5月は、GWが始まり、徐々に気温も高くなって来る時期ですからまだ良いとして、10月後半は、北日本では、初雪があったり、富士山の初冠雪も記録される時期です。そのような時期まで?と思えなくもありません。

 クールビズの良いところは、堅苦しいネクタイをしないことが、ビジネス界でも普通に出来るようになったと言うことです。ただネクタイを外せばオシャレになるというものではありませんが、ネクタイを締めておけばそれで良いという発想から、ネクタイを外すことが認められることで、選択の幅が広がりました。これは、良いことだと思います。ただ、ネクタイというのは、男性にとって貴重なオシャレの手段でもあるので、半年以上このオシャレができないのは残念です。また、別の視点で見ると、この運動は、個々人の発想が広まったのではなく、官公庁発の制度として広がりました。ファッションは自分で考えるものです。自分の個性を把握し、その場に合わせた服装を考える。お金をかけるのではなく、そのセンスを磨くことが大切です。

 そのクールビズが終了した10月31日、日銀は、追加の金融緩和を決めました。金融緩和とは、世の中に出回るお金を増やすことで、その目的の一つは、景気を刺激することです。黒田日銀が打ち出した当初の異次元緩和の時には、マーケットにかなりの衝撃が走りました。しかし、今回は「追加」であり、前回ほどの影響力があるかどうかは不明です。実際日銀内部でもかなりの意見対立があったようです。また、日本にある高齢化・人口減少という深くて大きな問題解決の見通しが立たない現状では、あくまでも対症療法的な措置と考えるべきだと思います。具体的に言えば、その結果、株が値上がりしたとしても、それに一喜一憂しない方が良いということです。

 秋の深まりと共に、服装と金融の問題について、少し考えてみたいものです。