皆さん こんにちは
【季節の話題】
先週に続いて今週もクリスマスネタです。今回は、エンタメではなく経済的な側面から見てみます。クリスマスケーキ代は上がっているという記事がありました。が、クリスマスパーティは減っているそうです。また、ケーキ屋さんの数も減っています。つまり、ケーキが売れて値段が上がっているのではなく、材料費や人件費の値上がりで価格が上昇しています。主な材料の卵やイチゴは前年より2割、チョコレートは3割上がっているそうです。卵については、一般消費者の肌感覚では倍になってる感じですよね。これをコストプッシュ・インフレと言います。価格上昇が押し上げるインフレです。価格上昇が急激だと感じるのは、デフレ時代の感覚から抜けきれず、価格転嫁が遅れてしまったという側面もあります。今、日本のあちこちで起きているインフレによく見られる傾向です。
ここから何が言えるか?このインフレは外部的な要因によるものなので、簡単に収束しないと考えられます。仮にインフレを終わらせる道があるとすれば、金利を上げて円高に転換し、材料費を下げることです。今週末に予定される日銀の金融政策決定会合では政策金利を0.75%に引き上げると言われています。デフレ感覚ではとても高いレートですが、物価上昇率は2〜3%なので、ここまで上げないと円高にはつながらないと言われています。しかし、そこまで金利を一気に上げてしまうと、株式市場や住宅ローンなど大混乱が起きる可能性があります。経済学的に見て、今の日本は本当に大変な状況です(世界中がそうなんですが)。
クリスマスケーキの話に戻ります。税理士目線で言えば、ケーキ屋さんは比較的零細で小規模で個人経営的な自営店舗が多い業種です。それは、経営者がパティシエを兼ね、自分の味を追求できるからでしょう。顧客を囲い込めば、安定収入が得られます。しかし、規模が小さいということは仕入単価に対する交渉力も弱く、価格上昇の波をまともに受けてしまっていると考えられます。最近はシャトレーゼのようなチェーン店、コンビニなどでケーキも売られており、小規模な店舗の経営環境は大変厳しくなっています。これに似ているのが寿司屋ですが、寿司は高めの価格設定が比較的簡単です。また、本人の希望にもよりますが、世界で食っていける商売です。
こんな風にクリスマスケーキのことなど考えたくないですね?
【今週考えたこと!】
たまに出てくる税理士会ネタです。税理士会の会議は基本的に東京なのですが、時々他の都市でも開催されることがあります。私の場合は、名古屋で開催されることが時々ありました。そこでの宿泊先は名古屋駅すぐ近くの名鉄グランドホテルです。翌朝には中部空港から松山に帰りますので、名鉄の駅ほぼ直結の場所が便利でした。そのホテルを含む名鉄名古屋駅の再開発が建設工事費が倍増してしまったために暗礁に乗り上げたそうです。中野サンプラザもそうですが、都市の再開発が進まないケースが増えています。これは物価上昇や人で不足というクリスマスケーキの問題とまったく同じ構図です。JR松山駅も無理して開発を進めなくて良いんじゃないかと思います。
この1週間の日経電子版で気になったのはこの記事です。
日本人は真面目です。決して日本人以外の人が不真面目というわけでは決してありません。が、海外に行くと多くの日本人が普通に持っている真面目さを感じる機会がよくあります。ちゃんと列に並ぶ、相手の言うことを静かに聞いて積極的な反論をしない、「スミマセン」とまず謝罪する、前から来た人とすれ違うときにさりげなく道を譲る。日本人には当たり前でも、海外でそのようなことを感じることはなかなかありません。だからといって日本人は完璧ではありません。日本人の同質性は窮屈であり、周りのことを気にしすぎて飛び抜けた発想をしないし、議論を避けて個性よりも協調を重視するといった面もあります。
この記事における日本人の幸福度は、自分の環境をその真面目さで受け止めたから、ということではないでしょうか。
真面目だから楽観的になれない
真面目だから目の前の事を厳しく見る
真面目だから自分の環境が良いとは思えない
つまり、自分は幸福ではない
これが多くの日本人の感覚ではないかと想像します。
確かに物価も上がって、自分がついていけないほどIT化も進んで、子どもや孫の環境も大変です。しかし、毎日なんとか食べていけるし、住むところはあるし、年金も入ってくるし、健康保険制度も維持されている。町を歩いていても海外の都市に見られるような命の危険を感じるような所はまずない。電話すれば救急車が駆けつけてくれる。それも真面目な日本人が一生懸命目の前の仕事に取り組んでいるからだと思うのです。そして、移住してきた外国人も、その多くは同じように真面目に仕事してると思います。この真面目さが実は日本にとってとても大事なもの、日本を支えるものなのではないかと思います。
この記事では、最後に「順位に一喜一憂するのではなく、社会のあり方を見直すきっかけと捉えたい。」と書かれています。幸せを感じるのに順番はないはずです。世界で何番目なんて関係ありませんね。自分たちの生き方を考える、その時に、真面目に生きることはとても大切なことの一つだと思います。
【今週のAIネタ】
国税庁から法人税や所得税の税務調査に関する情報が公表されています。そこでは何件調査をしてその中で問題が出たケースがどの程度だったかというデータが開示されます。今年はAIを活用して効率的で精度の高い調査が実施されたそうです。税理士として気になるのは、具体的にAIをどのように活用したか、です。少し具体的な内容が書かれていて、「売上伝票を破棄することにより、破棄した分の現金売上げを除外」する不正を見つけた事例があります。これは私の推測ですが、提出された売上の情報と日々の売上のデータを突き合わせて異常値を見つけたのかもしれませんし、来店客数の情報と売上データのアンバランスを見つけたのかもしれません。今までなら人力で処理していたところをデータ処理だけで一気に片付けた可能性があります。詳細な情報は不明ですが、この積み重ねでAIをさらに活用していく可能性はあります。
AIを実践でどう使うか?これが本当に大事なテーマです。
※この記事では一般的な経済市場動向についての情報提供を行っているもので、特定の投資を推奨又は勧誘するものではありません。

