F&Aレポート

「元も子もない(もともこもない)」「書き入れ時(かきいれどき)」「商い」は、いとおかし

 日常、何気なく使っている言葉でも、そもそもの意味を知ると、面白くなる言葉があります。たとえば、「かきいれどき」という言葉。

 恥ずかしながら、私はつい先日まで「掻き入れ時」と認識していました。多くのお客様にお越しいただき、多くの利益を集めるのだと思っていました。ちょうど年末、神社などで売られる「熊手(くまで)」で、お金を「搔き集める」イメージです。

 しかし、それは間違いでした。正しくは「書き入れ時」。

 商売が繁盛して売上が多く、帳簿にその数字を「書き入れる」のに忙しい時期であることに由来しているのだそうです。

 では、「元も子もない」は、どうでしょうか。

 これは、本来の意義や目的などが失われるだけでなく、失う必要のないものまで失われることを意味し、努力や行動が無駄になることを表しています。

 この言葉の由来は、投資において「元金(元)」だけでなく、そこから生まれるはずの「利子(子)」まで失ってしまうことから来ているのだそうです。

 いずれも商売から派生していることが興味深いと思いませんか?

 では、ついでに「商い」は、どうでしょうか。これは、「商い」=「秋」+「荷なう」から生まれた言葉です。

 古来、商売は物々交換でした。秋になると農民は、米や収穫物、織物などを交換することが盛んに行われました。「秋」になると「荷なう」ことから、「秋荷なう」「秋荷ない」が、「秋ない」「商い」に変化したと言われています。

 時代が進み、ビジネスや人々暮らしが大きく変化した現代でも、昔の慣わしから生まれた言葉が息づいているのは、まさに「いとおかし」ではないでしょうか。