ボストーク

湊町レター Letter From Minato-machi 2025(令和7)年2月1日 No.163

2025年も1ヵ月が過ぎ、2月となりました。まだ寒い日が続きますが、晴れた日には陽射しに春の暖かさを感じることがあります。

2月は確定申告が始まる時期でもあります。国税庁のHPを見ると、「スマホとマイナンバーでe-Tax!」と出てきます。スマホに続き、マイナンバーカードの普及などで生活のIT化が進んできました。また、国税庁などの官公庁でも、利用するソフトが少しずつ進化しています。このため、以前より簡単に確定申告を行うことができるようになりました。利用した方の話では、本当に簡単に申告ができるという評判です。反面、スマホを使いこなせない人にとっては申告したくてもできないという話もあります。また、根本的な問題として、スマホで確定申告というのはあくまでも手続が簡単便利になったということであり、事業所得における必要経費、土地建物を譲渡した場合の譲渡所得の特例、相続税を念頭においた贈与税などの場合は、制度面での理解と判断が重要です。以前のような税務署窓口で丁寧な申告相談をする機会は減ってきています。ネット上にも参考になる情報はたくさんありますが、素人の判断で勘違いする可能性もあります。ここは上手に税理士を活用していただきたいと思います。

さて、この原稿を書いている間に、トランプ米大統領がカナダとメキシコからの輸入品全体に25%の関税をかける大統領令に署名したというニュースが報じられました。さらに、中国にも10%の追加関税を課し、4日から発動するとのことです。大統領選挙での主張が、政策として現実の課題となってきました。トランプ氏の動きにはとんでもないことになりそうなイメージがありますが、実際はどうなのか考えてみます。

関税を引き上げるとは、輸入国が輸入品にかける関税を増やすことを指します。関税の引き上げによって輸出業者が影響を受けるのは、関税が本体価格に上乗せされることで輸入国の物価が上昇し、需要が減少するためです。また、関税の結果上昇したコストは商品価格に転嫁されるので、最終的な負担者は消費者ということになります。この関税の影響が広範囲に及ぶとインフレ圧力の一因になることもあります。FRBが米国の政策金利を引き下げず据え置いたのはこの問題に対する警戒感によるという側面もありそうです。関税の問題がなくても、昨年12月の米国の消費者支出物価指数は2.6%とインフレは落ち着いていません。米国の金利上昇はドル高(日本から見れば円安)となり、少し落ち着いてきた為替が不安定になることが予想されます。つまり、関税を引き上げることは米国内の消費者にとっても、周辺国にとってもマイナスなのです。米国第一主義による関税政策は、一部の国内産業を保護する効果があるとも考えられますが、一方で、輸入コストの上昇を招き、消費者や輸出業者に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、結果的に米国経済全体の競争力を低下させるという見解もあります。対象となった国は報復関税を課すという動きもあり、さらに混乱する可能性があります。