皆さん、こんにちは
6月3日の松山は、昨夜からの雨で朝から霧が立ちこめていました。 自宅から事務所に行く途中で見える松山城も、今朝は霧のために見ることができませんでした。
私は仕事柄、水産業、特に養殖事業の話を聞くことがあります。 養殖場の魚を狙ってサメが出てくることはもう普通になったそうですが、サメが好むのはブリ、ハマチで、鯛はあまり食べないそうです。 その理由をネットで調べたところ、サメは肉食系の魚を好み、ブリ、ハマチは成魚になるとイワシやアジを食べる肉食系であること(鯛は甲殻類や軟体動物を食べる雑食系)、鯛よりもブリの方が大きいので食べやすいことなどがあるようです。 まさに自然です。
自然と言えば、連日話題に上がるコメも農産物です。 一時期よりはわずかに緩んだとは言え、コメ不足、高値が続いています。 ホウレンソウが高いときは、小松菜などに乗り換えることもできますし、連続して収穫できるので、時間を置けば供給量も増えます。 しかし、コメは二期作の地域を例外として、基本的に年1回しか収穫できませんし、代わりになるものがないので、足りないことになれば大騒ぎになるのだと思います。
この対策として、政府は備蓄米の放出作業を始めました。 ところで、この備蓄米とはなんでしょうか? 備蓄米が始まったきっかけは、1993年の大凶作です。 10年に一度の不作や、2年連続の不作が起きても国民にコメを安定供給することができるように、毎年20万トンを買い入れ5年間保存、合わせて100万トン程度の備蓄が行われています。
ちなみに、100万トンの備蓄米でどれだけの人のコメを提供できるか。 一人あたりの年間コメ消費量は50.9キロと言われています。 1キロは6.7合程度ですから、50.9キロは大体341合となります。 1人についてほぼ1日1合食べるという計算です。 おそらく皆さんのコメ消費量とほぼ一致するのではないでしょうか。 この計算だと、100万トンで約2000万人のコメを賄うことができます。 インバウンド客を別にすると、日本の人口の約15%はこの備蓄米で1年間の食生活を守るということです。 私が思っていたよりも備蓄米の量は大規模ですね。
コメ不足が起きた原因の一つに流通の問題があります。 ここも調べてみました。 従来は農家が栽培した米は、JAを通じて流通していましたが、今、JAに流れるコメは全体の3割に満たないそうです。 大半のコメは、JA以外の流通業者や外食産業が農家に対して高値を提示しコメを確保する動きが拡がり、多分これに高齢化でコメを作らない農家が増えてきたようなこと=供給不足もあって、コメ不足が起きたと思われます。
備蓄米制度の前は、太平洋戦争中から続く食糧管理制度があり、生産から流通、消費までを国が管理していました。 この制度は先ほどの大凶作をきっかけとして1995年に廃止され、コメは自由に流通することが認められるようになります。 今起きている混乱で、国民生活におけるコメの存在価値がハッキリしました。 コメの生産から管理をどのようにしていくか、という検討が必要です。 かつての管理制度は硬直的な面があり、また農業人口の大きな減少など農業を取り巻く環境も大きく変化しています。 過去の制度の復活ではなく、国としてどのように進めていくか、新しい視点での検討が求められます。
大都市圏で暮らす人たちにとって、コメも魚も、自分たちの日常とほぼ関係のないところで栽培、養殖(漁獲)されています。 その産業がどのように機能していて、どのような人が関わっているのか、まったく分からないという人が大半だと思います。 生産者と消費者、両方を見ながら、国として第1次産業である農林水産事業をどうしていくべきか、真剣に考えるまたとない時期だと思います。
米国ほどではないとしても、日本にも解決策への取組が先送りされている課題はたくさんあります。 毎週同じようなことを書いていますが、過去の実績にとらわれすぎず、思い切って変化していくことを日本中で求められているように思います。