ボストーク

湊町レター Letter From Minato-machi 2024(令和6)年5⽉1⽇ No.154

 あっという間に桜の季節が終わり、⽇本列島はGW〜5⽉に⼊りました。ここ数年は春になる
と⼀気に気温が上がる感じでしたが、今年は3⽉が冷え込んだせいか、桜の開花もゆっくりで、
4⽉に落ち着いて春を満喫できた⽅も多かったのではないかと思います。⽇本にとって4⽉は
年度初め。2024年度、どのようにお過ごしでしょうか。


 さて、4⽉24⽇⺠間識者で作る「⼈⼝戦略会議」が「令和6年・地⽅⾃治体『持続可能性』分析レ
ポート」を発表しました。いろいろなメディアで⼤きく取り扱われていましたので、ご覧にな
った⽅も多いと思います。レポートの内容を簡単に説明します。彼らが注⽬したのは、⼦ども
を産む中⼼世代である20〜39歳の⼥性⼈⼝(若年⼥性⼈⼝)の動向で、今から27年後の2050年
にどうなるかを分析しています。その結果、全国の市町村の4割超の744⾃治体は若年⼥性⼈
⼝が半分以下となり「消滅する可能性」があるとされました。愛媛県の様⼦を⾒ると、消滅可
能性があるとされた⾃治体は、四国中央、⼤洲、⼋幡浜、⻄予、宇和島の5市と上島、久万⾼
原、内⼦、伊⽅、⻤北、松野、愛南の7町となっており、県内20市町の6割が該当します。


 このデータは過去の⼈⼝推移等を分析して得られたと考えられます。数字や分析は分かりや
すいのですが、私たちはそこに注⽬するのではなく、⽇本全体の⼈⼝が今後⼤きく減少し、そ
の半分近くのエリアでは⼈⼝が半減するというマクロ的な理解から考えはじめるべきだと思
います。愛媛県の⼈は、この変化を⾝近に⾒ることができるのはラッキーなことです。⽪⾁で
はなく、問題意識を想定ではなくリアルに持つことができるからです。松⼭市中⼼部の⼤街道、
銀天街でも空き店舗が⽬⽴ってきているのはその傾向の⼀つでしょう。


 私たちがまず考えるべきことは、⼈⼝が減るとどうなるか?です。地元のお客さんが減るの
で、地元企業の売上は減ります。それ以前に、従業員もいなくなり、会社存続も難しいです。
⾼齢者を⽀える若者が減るので、⽼⼈に必要な医療や介護のサービスを維持することも難し
くなるでしょう。また、税⾦が減るので、公共施設を維持することもできません。能登半島地
震のように、災害が起きたときに復旧することも難しくなり、仮に被災すると、建物や道路は
放置されることになりかねません。町がコンパクトになるからこじんまり⽣きていけば良い
と⾔う意⾒もあります。しかし、今の施設は過去の⼈⼝をベースに作られているので、その施
設をどのように⼩さくするのかという問題があります。


 個⼈の資⾦設計を考えると、今の⽔準の年⾦や健康保険制度を今後も維持することは無理で
しょう。65歳以上になっても年⾦以外の収⼊を確保すること、つまり多くの⼈が働き続けるこ
とが必要になると思います。健康を維持することも同じように重要です。


 ⼈⼝問題は公的なテーマのように⾒えますが、⼦どもを産むことはとても繊細で、個⼈的、
価値観の問題です。そこに政治や⾏政が踏み込んでいくことはきわめて難しいことです。その
答えは決して簡単なものではない、それだけはハッキリしていると思います。

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