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湊町レター Letter From Minato-machi 2021年4月1日 №117

 4月になりました。去年は新型コロナウィルス感染症の感染拡大の中で、右往左往の時期でしたが、今年は予防に注意を払いながら、卒業式~入学式といった季節のイベントは粛々と行われているようです。しかし、この原稿執筆時点では愛媛県でも感染者数が高止まりしており、予断は許しません。マスクを常時着用すること、人との距離を保つこと、コロナ前のような会食をしないこと等経験で得た予防策を徹底することだと思います。

 そのような中での今年の確定申告。昨年は申告期間中中盤での期間延長だったため、ほぼ3月15日に作業を完了しましたが、今年は最初から期限延長されたこともあり、本来の申告期限を過ぎることに対する緊張感がなく過ごしています。2年連続して延長の経験をしたことで、年が明けてからの作業がいかにハードだったかを実感しています。それは税理士事務所側だけでなく、納税者であるお客様にも負荷をかけていたと言うことでもあり、来年以降の確定申告が元に戻ることがあるとすれば、それは大きな不安材料です。その確定申告のもう一つの特徴が、事務連絡にLINEやFBメッセンジャー、メール等を活用する機会が増えたことです。今の50代以上の人にとって、連絡手段は電話というのが基本ですが、若い人にとっては連絡方法の基本はまずLINE等であり、複雑なもの重要なものを電話で話すというスタイルになっているようです。

 さて、先月マーケットに対する不安要素について書きました。しかし、例えばその後の株価はそれなりに持ち直しています。それをどう捉えるかというのは微妙な問題です。株価にとって重要なのは安定であり、たとえそれが上昇であっても、急激な値動きは決して良い情報ではありません。加えて、米国NYのアルケゴスキャピタルというファンドが破綻しました。その損失は2兆円と言われています。その影響を受けた損失がクレディスイス、野村證券そしてみずほFGなどに及んでいます。マスコミなどでもあまり大きく取り上げられていませんが、この破綻規模は、1997年のLTCM以来であり、2008年のリーマン危機級の規模だとも言われています。2回とも今と比べれば経済が安定していた時期ですが、今は経済も金融も政治も、そして国民の意識も新型コロナに翻弄されています。今回の破綻が今後巨額なものとして表面化する可能性もあります。金融経済危機は、台風や地震のように、目に見えるものではありませんから、投資は、しばらくの間慎重にみる必要があるかもしれません。

 1年前を振り返るとコロナがここまで続くとは思えませんでした。その間の辛抱で、我慢しきれず焦って外に飛び出すようなことがないようにしたいものです。