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湊町レター Letter From Minato-machi 2014年6月1日 №36

 6月です。今年はエルニーニョの影響で、冷夏になるという話もありますが、梅雨入りは平年並みだったようです。この梅雨が明けると、夏。出張が多いと、気候に合わせて服装や雨具等に気を配りますが、暑くなると、上着を脱ぐことが多くなります。これは、自動的に荷物が1つ増えることであり、出かけていくのもそれなりに大変な季節になります。

 さて、今年4月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100)が、生鮮食品を除いた対前年同月比3.2%の上昇となった報道がありました。これは大変重要なニュースです。今後の指標の動きに注意すべきですが、ひとまずバブル崩壊後続いてきた日本経済のデフレがやっと終わったのかもしれません。しかし、今回の上昇要因は、主に消費税の税率引き上げと円安であると想像され、経済成長によるものとはまだ言えません。今後は、GDPはじめ、景気を表す指標がどのような結果を示すのか注意する必要があると思います。また、物価上昇は、金利上昇の要因になります。劇的金融緩和により、日銀は市場に圧力をかけて金利を引き下げていますが、金融緩和はすでに限界に近づいていると思われ、こちらも要注意です。金利が上がると、預貯金の金利も上がり、庶民のとって良いかもしれませんが、銀行からお金を借りている企業にとっては、利益の圧迫要因となります。まだ圧迫であれば良いですが、支払をすることが出来なくなると大変なことになります。

 さて、経常収支の話です。日本経済を大きく見ると、生産拠点は海外に移転し、国内の工場だけでは海外からお金を稼ぐことが出来なくなっています。高齢化により、生産人口は減少し、年金や医療といった社会保障費が増え続けています。これに過去の公共投資の結果積み上がった巨額の財政赤字が横たわっています。現時点では、国内の貯蓄が相当規模あるため、国内で足りないお金は国債を発行することで何とかなっていますが、もしそれで足りなくなった場合はどうなるのか?これはいくつかの方法が考えられます。海外への投資から配当などで回収する、外国人が日本に来る機会を増やして観光収入を得る、観光は、日本のインフラ・治安を考えると現実的です。その他、日本の製造業を復活させる、日本の国債を海外の投資家に売るといった方法があります。国債を海外に売るのは最後の手段だと思いますし、製造業の復活は障害が多く大変です。いずれにしても、このような方法を現実的に進めるためには、国を挙げて行うことが必要です。そのためのリーダーシップが強く求められていると思いますし、経常収支を観測していくことが大変重要なわけです。