「重言(じゅうげん)」とは、「頭痛が痛い」「馬から落馬する」というように、同じ意味の言葉を重ねる表現です。多くの場合、誤用とされますが、意味を強調するために、「びっくり仰天」「過半数を超える」「最後の追い込み」など、あえて用いられることもあります。
また、これらとはちがい、はっきりとわかりにくい「隠れ重言」もあります。言葉は重複していないけれど、その文脈の中でわざわざ伝える意味がないもの。たとえばラグビーの試合中継で「強いタックルが欲しいですね」というのは、弱いタックルが欲しいシーンは存在しないので、当たり前のことをもっともらしく言う「隠れ重言」です。心に響くメッセージはどんなことに注意すれば良いのでしょうか。「超・箇条書き」(ダイヤモンド社 杉野幹人著)からご紹介します。
1、新入社員Aさんの所信表明
<私の約束 6か条>
- お客様に喜んでいただける新商品をつくります
- 差別化された新商品をつくります
- 自分の信じる新商品をつくります
- できる限り数多くの新商品をつくります
- 一生懸命に効率的に業務を実行します
- すべてのことで自分のベストを尽くします
この6か条の中にはっきりとわかる「重言」はないのですが、 ほぼ当たり前のこと、すなわち「隠れ重言」と捉えられるところはないでしょうか。「お客様に喜んでいただける新商品」「差別化された新商品」いずれも当たり前。また「一生懸命に効率的に」「ベストを尽くす」これらは、働く上では大前提でわざわざ表明するほどのことかと、思われても仕方ないかと。また、目立ちませんが4つ目の「できる限り」という表現と、最後の「ベストを尽くす」は「重言」といえます。
これらの重言を排除すると2つのポイントに絞られます。ポイントを絞って伝えることで、相手も集中しやすくなるので、心に響くメッセージとして生まれ変わります。
<私の2つの約束>
- 自分の信じる新商品をつくります
- 数多くの新商品をつくります
2、今一度、見直したい表現
- ~を改善する
- ~を見直す
- ~を推進する
- ~を最適化する
- ~を徹底する
- ~を強化する
- ~を実行する
上手くいっていないなら、いずれも「当たり前」なのだから、どのように改善するのか、どのようにして見直すのか、具体的に何をするのかが示されないと、意味のない「隠れ重言」になります。
3、「隠れ重言」を避けるために「否定」を使うという処方箋
「何をするか」を伝えるために、「何をしないか」を明示して強調することで、「何をするか」の意図が明確になります。
- 長時間労働に走るのでなく、生産性向上を推進する
- 衝突を恐れるのでなく、活発な意見交換を実行する
あえて「否定」の言葉を入れることでスタンスを示し、一見当たり前に見える表現でもメッセージ性を強調することができます。
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