F&Aレポート

日本の文化「助数詞」は絶滅危惧種?

突然ですが、それぞれの数え方を記入してください。

写真
ワイシャツ
コーヒーカップ
海苔

うさぎ
はさみ
日本酒

仏像
鳥居

 日本語では、物の数量を数えるときにつける「助数詞」(単位)が、物の種類別に決められています。助数詞は、それだけで物の状態が読み取れる日本の優れた文化ともいえます。

 現代ではなんでも「一個」や「1つ」で済ませてしまう人も多いので、「助数詞」はもはや絶滅危惧種といえるのかもしれません。たとえば年齢も「1個上」といった表現をよく聞きます。意味が通じているので、悪いわけではないのですが、日本の感性溢れる文化を知っておくことに損はありません。今回は絶滅寸前の「助数詞」についてご紹介します。

1、助数詞には意味がある

 写真の助数詞は「1葉(よう)、2葉(よう)」。手のひらにのるほどの大きさで、木の葉のように薄く平たいものを数えるときに使います。ハガキも同様です。

 コーヒーカップは「1セット」ではなく「1客、2客」。カップ&ソーサー1組で1客。お客様をもてなす道具に用いられる助数詞です。

 箸は「1膳」。割り箸は割る前も後も1組で1膳。箸の片方を数えるときは1本です。

 はさみや包丁は「1丁、2丁」。

 鏡は「1面、2面」または「1枚、2枚」。鳥居は「1基、2基」。地面や建物に据え付けてあるものの助数詞は「基」。墓、原子炉、塔なども同様です。

 ワイシャツは「1枚、2枚」と数えますが、本来洋服は「1着、2着」と数えます。

 海苔はカットされたもの10枚で「1帖(じょう)、2帖(じょう)」。半紙も20枚で「1帖」と数えます。「帖」は、一定の枚数をひとまとめにして数える助数詞です。

 日本酒は、徳利に入っていれば「1本、2本」ですが、相手の盃に酌んで飲むときの1杯は「一献(こん)」。酒席で日本酒をすすめるときには「1献(こん)どうぞ」と、すすめてみては?

 うさぎは、諸説ありますが、長い耳が羽のように見えたということで「1羽、2羽」ですが、実際は「1匹、2匹」で数えることが多いようです。

 仏像は「1体」「1躯(く)」「1頭(かしら)」。山は「1座、2座」ですが、仏像を「1座」と数えることもあります。

2、豆腐も「一丁」、銃も「一丁」?

「丁」には偶数という意味があります。サイコロの目で「丁」「半」というときの「丁」です。豆腐はもともと豆腐2個分で「1丁」と数えていたと言われます。

 また、「丁」には「ちょうど良い時間にあたって、盛んであるさま」という意味もあり、そこから景気付け、活気付けに使われるようになりました。「1丁やるか!」とか、飲食店の注文の際に「○○1丁!」と、使われるのもそのためです。

 一方で、銃を数えるときの「丁」は、もともと「挺」と書いていましたが、常用漢字ではないので、代わりに「丁」と書きました。この「挺」は、「まっすぐなさま」「まっすぐな棒」を表した文字です。そこから手に持って使う道具類を数える言葉として使われるようになりました。農具の鋤(すき)や鍬(くわ)、槍(やり)などを数えるときも使いますし、珍しいところでは三味線、バイオリン、そろばんも手に持って使う道具なので「挺」で数えるときもあります。ろうそくは「1本」と数えますが、古くは「挺」と数えていました。ろうそくが貴重だった時代、「一挺?(一ちょうろう)」と言いました。一着きりの大切な着物のことを「一張羅」(いっちょうら)言うのは、これが語源とも言われています。豆腐の「丁」と、銃を数えるときの「丁」は、別物なのです。(NHK気になることば 参考)