梅雨真っ盛りの中、2023年も折り返しの7月になりました。英語ではJulyです。1年を365日とする太陽暦、ユリウス暦を創った共和政ローマ末期の政治家、ユリウス・カエサル (JuliusCaesar) からとられたとされます。Julius→July
今月は皆さんがお持ちのスマホ、スマートフォンについて考えます。
政府のデジタル市場競争会議は先月16日、スマートフォンの基本ソフト(OS)を提供する巨大IT(情報技術)企業への規制案をまとめました(日経新聞)。iPhoneのAppleの場合、アプリはApp Storeから購入しなければならないシステムになっており、Apple以外の開発業者もここを経由しないとユーザーに販売できません。Android端末はGoogle Playからの購入は強制されませんが、97%がGoogle Playを利用しているようです。その理由は、セキュリティを集中的に維持管理するためです。今回の規制案は、これらIT大手が提供するアプリストアや決済システムを使うようアプリ開発事業者らに強制するのを禁じ、消費者が様々なストアや決済手段を選べるようにしようとしています。欧州でもほぼ同内容の法案が検討中です
健全な競争を促す独占禁止法の考え方では、市場の寡占状態は良くないという発想があります。しかし、多くの人が利用する技術的なプラットフォームは少ない方が良いと言う考え方もあるのです。以前のビデオテープのことを思い出してみましょう。ビデオテープはシャープが開発したVHSとソニーが開発したベータに2分され、最終的にVHSにほぼ統一されました。かつてビデオデッキを買う時、レンタルビデオショップに行く時、常に自分の規格を意識しなければならず、不便でした。ビデオ作品を企画する方も複数の規格を念頭におかなければなりません。VHSが主流となってからは、この面倒な選択がなくなりました。寡占化がユーザーである国民にとって必ずしもマイナスではないという例です。
Appleは、年間の売上高が約51兆円(今年1~3月の売上から推計)、主力商品の1つiPhoneは世界中で18億2000万人が持っているという会社です。日本の税収は69兆円(トヨタは37兆円)ですから、とんでもなく大きな会社です。それだけにユーザーの個人情報を守るセキュリティへの配慮は世界でも最高レベルのものです。この考え方は、ユーザーの満足度・信頼を重視するユーザビリティという考え方につながります。iPhoneは安全なスマートフォン、ということです。この発想があったため、Apple CEOのティム・クックはマイナンバーの情報をiPhoneに搭載することを日本政府から求められた時、それを受け入れず、マイナンバーの脆弱性の問題を指摘したそうです。規制案を実現するとほぼ間違いなくiPhoneのセキュリティレベルは低下し、ユーザーの情報は守られなくなります。
マイナンバーカードを巡るトラブルも合わせて考えると、日本政府とApple、どちらを信じるか?答えはハッキリしていますね。