7月に入った途端、一気に夏!です。まだ梅雨であることを忘れたみたいに、毎日、強い陽射しが照りつけています。今年初めての台風まで出現しました。本当に暑い夏ですが、皆さまどうぞご自愛ください。
さて、英国のEU離脱をめぐり国民投票から日本国内の参議院選挙と、政治を考える機会が多くなってきました。このようなところで書くのは難しいところですが、思うところを少しだけ書いてみたいと思います。
まず英国の国民投票について。この問題は、過去何世紀にも及ぶ欧州の戦争の歴史から生まれたEUという国の連合体が、これからどのようになっていくのか、大変注目されるところです。それはさておき、ここで取り上げたいのは、賛成・反対という議論をどのように行っていくか、つまり、民主主義の考え方についてです。
参議院選挙での論戦も含めて、今の日本国内を見ると、自分たちの主張を正当化するために相手方を一方的に、徹底的に叩く、そしてそれが言論の自由だという風潮が大変強くなっているように思えます。SNSの普及を背景として、自分たちの意見を世界中に拡散させることが可能となり、特にその傾向が強いようです。
確かに、民主主義の考え方の一つに、多数決というものがあり、多数をとった意見を採用するという原理原則があります。日本では、特にそれを重視する傾向が強いようです。しかし、民主主義にとって大切なことは、その前にしっかり議論すること、相手の立場を尊重すること、そして仮に一方の意見を採用するとしても、少数派の意見にも耳を傾けること、結果として両者が尊重し合える関係になるよう努力をする、これが民主主義です。
見方を変えると、ある政策について、国民の意見が、何でも賛成、何でも反対というものはほとんどないのではないでしょうか。例えば、TPP。貿易が活発になり国の産業が栄えるという点では賛成。しかし、その結果、国内の弱い産業が衰退したり、粗悪な外国の産物が入ってくるのは反対と言ったように、明確にどちらとも言えません。
今回の参議院選挙の各党の議論を見ていると、それ以前の国会論戦も含めて、民主主義の理念を理解し、反対・賛成の議論を尽くして、両者が納得できるような結論を導いているとは到底思えません。数を取った方が勝ちだろうというきわめて単純で危険な傾向です。このような政治になってしまったのは、与野党両方の責任です。そして、主導権を握っている方の責任がより重たいと思うのです。