長月(ながつき)の9月です。その名で思い浮かぶように、だんだん日が短くなり、夜が長くなっていくので、夜長月(よながつき)から来たという説が有力です。ちなみに、陽暦だとまだ夏の暑さが続くイメージですが、陰暦の9月は、陽暦では9月下旬から11月上旬を指し、秋が深まっていく季節を指します。いずれにしても、騒々しかった夏から一転して静かな秋、そして冬へと向かっていきます。
さて、このレターは、経済、金融、政治、デジタルの世界について書くことが多いのですが、なぜデジタルについて書くかと言えば、それが社会全体の変化につながるからです。経営、そして個人の人生を考える時に、デジタルの持つ意味は大きいと思います。とっつきにくい部分もありますが、ぜひこの世界に触れていただきたいと思います。
先日ふと思ったことです。今でもガラケーを使っている人は少なくありません。ガラケータイプのスマホもあるくらいです。この2つの機械の違いは何でしょうか。電話として捉えると同じものです。しかし、スマホは電話だけでなく、中のアプリを使うことが重要で、そのアプリは日々進化します。スマホというハード自体は買い替えるまで基本的な機能は同じですが、その中身はドンドン進化しているわけです。これに対してガラケーの機能は買った時点で止まります。機能を上げようと思えば、新しいガラケーを買わなければいけないわけです。このスマホの進化がデジタルであると思って下さい。
デジタルへの理解で気になること。岸田首相が新型コロナウィルスに感染した際のオンラインでの記者会見なるものが行われました。岸田首相は感染しているのでオンラインなのは仕方ないとして、記者団は官邸に集められて、そこから取材していました。これではデジタルじゃないよねという報道がありました。デジタル企業のドラマなのに、電話で話したり、取引先の企業に出向いて行って打ち合わせしたりしている場面があります。デジタル企業はリモートワーク、打合せはチャットやオンライン会議が普通です。この描き方ではデジタル企業の実態は分かりません。
この2つのことで分かるように、デジタルというのは、その仕組みを理解することも必要なのですが、それ以前に、スマホでLINEやYouTubeを毎日使っていれば、自然と分かっていくものなのです。他にも、ペイペイのようなキャッシュレス決済もあります。現金の方が目に見えて安心という感覚も分からなくはないですが、決済だけでなく、遠くの人に瞬間で送金できたり、割り勘も小銭のことを考えずにできる便利さもあります。
デジタルと言えばPCという時代もありましたが、今のデジタル化のベースはスマホです。デジタルを片手で実感できるわけです。デジタル化は決して難しくありません。まずはスマホを使いこなす生活から始められてはいかがでしょうか。ただし、スマホの画面を毎日見ていると目が疲れることは避けられません。デジタルに触れるのは良いこととして、体力を考えて、集中しすぎないようにしたいものです。