9月です。1年の各月を振り返ると、8月までは気温が上がり盛り上がっていくイメージ。そして、9月はこれから迎える秋冬に向かい落ち着いていく区切りのような印象です。Covid-19の影響や、気候も突然梅雨に戻ったりと落ち着きませんが、秋の気配を感じて参りましょう。
さて、株式市場の話しです。8月27日の日経新聞によると、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazonの略)の時価総額が7兆500億ドルとなり、日本全体の株式の時価総額6兆8600億ドルを超えたという報道がありました。また、NYダウは今年1月31,000ドル近辺から8月末には35,000ドル近くまで上昇しました。これに対して日本の日経平均は、1月28,000円台が8月でもほぼ同額で上がりきらない状態が続いています(過去10年で見ると上昇はしています)。
この日米の株価の推移を見てくると、市場や生産人口等で、移?を受入れ、GAFAのような新しい企業・経済が発展する米国と、高齢化が進み社会構造も企業体質も硬直的な日本の違いというのも浮き彫りになってきます。それと同時に、日本の場合、株価の下落を支えるために日銀やGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人=いわゆる年金資金)がETF(上場投資信託)を購入しており、この割合がかなりの規模になってきています。この2つの組織は、日本最大の株主とも言われています。しかし、公的資金は、下がる株価を支えるためには機能しますが、株価を上昇させることは出来ません。株価が上がるためには、市場が健全に機能し、一般的な投資家が株式を買い始めることが必要ですが、購入する株式の数が少ないのだからどうしようもない側面があります。つまり、このようなことからも、日本の株価が上昇する可能性は低いのではないかと想像されます。
珍しくもう一つ市場の話です。8月27日に米国ジャクソンホールからオンラインで開催された講演で、米国FRB(米連邦準備理事会)のパウエル議長は「テーパリング(資産買い入れの縮小)」に触れたと報道されました。現在のCovid-19が経済に与える影響を配慮して、日本だけでなく米国や欧州でも大量の国債を購入して金利を低く抑え、上に書いた株式市場にも影響を与えているわけですが、テーパリングとはこの購入のペースを落として行くことを言います。つまり、物価や雇用情勢といった経済の様子を見ながら、中央銀行が市場を支える現状を見直していこうと言うことです。実施するタイミングや規模を間違うと、ショックが大きくて株価下落や金利上昇を招く可能性があり、規模が小さいとバブルを招いてしまう可能性があります。その判断は大変難しいところがあります。ただし、今回は、パウエル議長の発言内容が慎重姿勢であったことから、市場は安定的に推移しています。
日本の季節と同じく、世界の金融市場も転換点を迎えつつあります。株式や金利といった市場の様子を見るに当たっては、今まで続いてきたことがこれからも続くという裏付けのない楽観論は持たない方が良いでしょう。秋の夜長にしっかりマーケットウォッチです。