2023年、令和5年となりました。1年の最初の月、1月は和風月名で睦月(むつき)。現代の日本ではグレゴリオ暦を採用していますが、明治になるまでは陰暦を使用していました。1月は睦月とされますが、その期間は完全に一致しているわけではなく、睦月は新暦での1月下旬から3月上旬を指すそうです。なお、睦月の由来は、仲良くすること、仲睦まじいことの意味を持つ「睦び合い」の宴を正月に親族が集う月というのが由来とするのが主流ですが、稲の実を初めて水に浸す月であることから、実月(むつき)とする説もあります。また、松山市の旧中島町には睦月島という歴史のある島があります。
さて、令和となってもう5年目となります。皆さまにとってもここまでの令和は大変な時代だったのではないでしょうか。まず、この5年(正確には4年弱)の内3年は新型コロナウィルス感染症が世界を席巻しました。そしてまだその勢いは止まっていません。この間、移動を伴わないで経済を動かしていくかということが考えられ、インターネットを利用したウェブ会議やリモートワークが普及しました。きっかけは感染防止策という側面もありましたが、その結果、移動に伴う時間がいかに無駄であったかということに多くの人が気付き、生産性向上に目的が変化してきました。そしてその先には、移動しないこと、紙のような資源を使わないことが地球温暖化の原因となる二酸化炭素CO2のような温室効果ガスの排出量を抑えるという考え方につながっていきます。このような生産性向上の視点を「DX」デジタル トランスフォーメーションと言いますが、脱炭素社会を目指す方向性は「GX」グリーン トランスフォーメーションと言います。新型コロナウィルス感染症がきっかけとは言え、結果として人間の生き方として良い方向性を見つけられたと感じます。令和の持つイメージが良くないと思われる方も多いかと思いますが、それをきっかけに良いものも生まれています。
別の側面として、昨年から世界的な物価上昇が経済発展を阻害しています。その結果、金利上昇、株価下落とつながっています。金利上昇に取り残されていた日本も、年末に、日銀が政策金利は維持したまま、イールドカーブコントロールの下での10年もの国債金利の許容幅を従来の0.25%から0.5%に「金利の変動を許容する幅を拡大する」という非常に難しい表現の方針を打ち出しました。しかし、市場の要求は金利上昇なので、それを抑え込むために12月に日銀が購入した長期国債の購入額は過去最高となった模様です。それだけ金利上昇圧力が相当なものであったのではないかと想像されます。日銀保有の資産規模が膨らむリスクは想像がつかないものになりつつあります。それは爆発するまではデータでしか分からないものです。仮に何かが起きてしまうと、家計や企業にとんでもない影響を及ぼすことになります。令和が悪い思い出にならないように祈りたいところです。