ボストーク

湊町レター Letter From Minato-machi 2024(令和6)年10月1日 No.159

 10月です。暑さの中、秋を感じることも増えてきました。

 高架化されることとなったJR松山駅が9月29日に開業しました。71年ぶりの大改装で、⻄口が新設され、東⻄の行き来が自由となりました。愛媛県の「県都の玄関口」として駅周辺の再開発が期待されるそうです。駅が改装されて、町が賑やかになるのは良いことです。が、「JR松山駅っていつ行ったかな?」と思い出すと、JRを利用すること自体ほとんどなく、5〜6年は利用していないような気がします。今さらJR松山駅と言われても、なのですが、今月はこの問題(県都の玄関口の意味)をちょっと考えてみました。

 愛媛県の鉄道駅で最も利用者が多いのは、松山市駅です。松山市駅の1日あたりの乗降客数は16,305人と言われています。「国土数値情報(駅別乗降客数データ)」(国土交通省国土政策局・令和5年度)を加工して作成したHP「統計情報リサーチ」からのデータです。これには路面電車の松山市駅駅の6,541人は含まれません。

 これに対して、JR四国のHPから、2023年度のJR松山駅の乗車人員は5,800人というデータがありました。駅は降りる人もいるので、これを同数と考えると、約12,000人の利用があることになります。ちなみに、松山空港の2023年度の乗降客数は年間約230万人。1日あたりに換算すると6,300人となります。

 松山市駅とJR松山駅の関係は松山の方であればよくご存じだと思いますが、松山市駅は1888年開業なのに対して、JR松山駅は1927年の開業です。JR線上に存在する都道府県代表駅最後の開業でした。

 これらのデータを見ながら、松山市の人の流れを考えると、都市の拠点としての機能は松山市駅にあると言わざるを得ません。市駅を中心に、オフィス機能は一番町、商業機能は大街道〜銀天街と郊外店舗、飲食店は二番町〜三番町と都市の機能の棲み分けが固まっている中で、JR松山駅にどのような機能を持たせるのか。松山市の動きを見ていても、明確なビジョンがあるように思えません。加えて、今後の少子高齢化の波という厳しい条件が付きます。

 石川県の金沢駅も、松山市と同じように中心部から少し離れたところに駅があります。金沢市の中心部は香林坊で、金沢駅から2.5キロほどの距離にありますが、こちらは、北陸新幹線の開通もあって、JR駅前が賑やかになりつつあります。松山市と比較すると、北陸新幹線の乗り入れによって東京からの人の流れが変わったという点が大きいです。四国新幹線というアイデアもありますが、東京直結ではなくJRの乗降者数にどこまで影響するかは未知数です。

 もう一つ。今回のJR松山駅では、自動改札機が導入されました。今さら自動改札機かいとも思いますが、YouTubeでJR東海のクリスマスエクスプエスのCMを見ていたところ、初期の1988年は東海道新幹線も有人改札でした。JR東日本が電子改札を本格導入したのは、1990年です。これも時の流れですね。さて、JR松山駅はこれからどうなるのでしょうか?

 YouTubeは「JR東海クリスマスエクスプレス」で検索してみてください。