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湊町レター Letter From Minato-machi 2015年7月1日 №49

 7月です。今年もついに半分以上経過したことになります。予定通り、梅雨に突入し、今月は夏に向かって気温も上がっていきます。8月まで厳しい季節ですが、何とか乗り切っていきたいものです。

 さて、この湊町レターは、お客様と酒井啓司税理士事務所をつなぐ大切なコミュニケーションツールであり、その中には、事務所からの何らかのメッセージを盛り込んでいます。その形式は、非常に古典的なものですが(弊社サイトには掲載しています)、現在は、インターネットをベースに、ブログやTwitter、Facebook等で人がつながり、様々な意見交換が行われています。少し前まで、ビジネス上のやり取りは、PCメールが一般的でしたが、最近は、Facebookメッセンジャー等を利用する機会も多くなってきました。これは、スマホから簡単にアクセスできると利便性の他、関係の深い人だけでつながるSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)だと、スパムメールのような迷惑メールが入り込むことが少ないという理由もあります。

 従来の新聞、テレビというマスコミ中心だった情報発信が、今や普通の人でもベッドの中から簡単に行えるようになってきました。この自由な発言が行える環境は、民主主義国家の重要な要素の一つです。日本でも、憲法13条で基本的人権の尊重が、同21条には表現の自由が謳われています(ただし、例外的として、「○○を殺す」ようなメッセージは犯罪となる場合がありますのでご注意下さい)。

 この発言の自由ですが、発言の相手方に対する配慮も重要です。つまり、何でも言って良いからといって、相手に対する敬意を無視してしまうと、感情的なぶつかり合いになってしまいます。発言の前に、相手の存在・考えをまず尊重しなければなりません。自分の考えに頑なになってしまった結果、相手を傷つけてしまうことはよくあります。それは、情報発信以前の問題で、人間としての生き方の基本のようなものです。内容だけでなく、大きな声を出すといった行為も問題です。

 先日、自民党で行われた「文化芸術懇話会」で、作家百田氏と自民党国会議員とのやり取りの中で、沖縄の新聞社は潰れれば良いというような報道機関を威圧すべきだという発言が出て、大きな問題となっています。あれは冗談だったとか、われわれにも表現の自由があるといった弁明も聞かれますが、お互いの存在・立場を無視した一方的な発言は、単純で感情的で、大変薄っぺらく感じられ、そこに議論としての発展性はまったくありません。それが具体的になった結果が、先の大戦です。現在の安全保障をめぐる議論も、もっと冷静に深く行われるべきだと思います。