ボストーク

湊町レター Letter From Minato-machi 2017年5月1日 №70

 5月。桜の季節があっという間に終わり、街にはツツジがたくさん咲いています。そして、GWが終わりました。日々仕事に追われるビジネスパーソンにとって、日常と違う時間を過ごすことはとても大切です。GWは、気候の上でもとっても良い季節ですから、皆さんもしっかりリフレッシュされたことと思います。私も、日常と違う事務所でしっかり過ごすことができました(笑)。

 さて、クロネコヤマトのヤマトホールディングスが、消費者向け宅配便の基本運賃を今年9月にも5~20%引き上げるとの報道がありました。合わせて、同社が1万人規模の採用を行うとの報道もありました。現状の宅急便としてのサービスを維持するためには、運賃引き上げ・人材の確保ともに同社にとっては喫緊の課題なのでしょう。ちなみに、日経新聞の別の記事によると、三大都市圏のパート・バイトの募集時の時給は、今年の3月に1,017円となり、1,000円台の大台に乗ってしまいました。東洋経済(20170513号)によると、自衛隊でも人材不足は同様の状態で、兵士である「士」(外国軍隊では上等兵~2等兵)が定員の75%にしか達しておらず、自衛隊全体の平均年齢も、1991年から2014年の間で32.2歳から36.0歳に上がったそうです。ポテトチップス販売休止に至ったジャガイモの生産減少問題も、人手不足との報道がありました。

 これらの報道に共通する点。日本中、地域や産業を超えて、至るところで人手不足です。しかし、これはこの数年の問題ではありません。1960年代から、人口減少問題は一部で取り上げられており、長年の蓄積で表面化してきた問題です。ジャガイモは、ある日突然在庫が底をつくと言うことがあるかもしれませんが、労働力としての人間は、ある日突然消えるのではなく、日々の積み重ねで職場から1人ずつ、少しずつ消えていきます。政策として考えるとすれば、その前提である人口や出生者数の減少等々の労働力の元となる統計も、毎年更新されているわけです。現在の日本の労働問題の大きなテーマである労働力人口の不足は、これらの指標を無視し続けた結果であり、仮に、今後の対策を考えるのであれば、相当の覚悟をもって、これから何十年というスパンで取り組み続けなければいけないテーマだと言うことです。そこには、人口問題だけでなく、労働生産性や移民の問題等々幅広い検討が必要です。イクメンだけで片付くような問題ではありません。

 マスコミの取り上げ方がまだまだ緩いなどと他人に転嫁するようなことではなく、本
当に日本人全体があらゆる分野で考えるべき課題だと思われます。もっとも、それができ
れば、こんなことになっていないのでしょうけど。

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