ボストーク

湊町レター Letter From Minato-machi 2021年3月1日 №116

春を感じさせる3月になりました。陽射しも柔らかくなり、梅から桃、桜と花の季節になっていきます。花粉症も大変ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。確定申告については、緊急事態宣言を受けて今年も期限延長となりました。が、今年は2回目であること、この1年間のコロナ対応の経験を受けて、皆さん落ち着いてように感じます。ワクチンも、予想通り(?)政府の対応に先行き不透明感が増しており、これも同じく国民にとっては想定内と受け取られているように感じます。世界でもワクチン接種を確実に進めているのは、英国とイスラエルです。世界の覇権を握った国と常に戦時状態にある国、危機管理の意識は非常に高く、何とも効率的で素早い対応です。日本国内の現状を嘆いても仕方ないので、今は海外での知見をいかに活かすかを考えるべきだと思います。

久しぶりに経済の話しです。

2月15日に30年ぶりに3万円台に乗った日経平均株価ですが、26日1200円近く下落しました。その要因として言われているのが、米長期金利の急上昇です。なぜこのようなことが起きたのか、今後どうなるのか、ちょっと考えてみました。

コロナ前から主要先進国では中央銀行を中心に量的緩和が行われ、金利上昇が抑えられてきました。それはデフレを抑制し、株価を維持することにもつながってきました。コロナが蔓延し始めると、世界中で莫大な金額の財政支出が行われました。その結果の一つが日本では3万円台の株価というバブルのような状態です。ここが大きな分岐点です。マーケットにとってバブルは実体経済の裏付けのない市場価格の上昇であり、1991年以降の日本経済を経験した方にとってその行き着く先は十分お分かりだと思います。熱しすぎた市場を規制するため、中央銀行はお金が出るのを調整しようとします。出てくるお金が減ると金利は上がってしまいます。日本でも株価が下がった26日に長期金利の指標となる新発物国債金利が前日の0.150%から0.175%に急上昇し、2016年1月以来の水準となりました。まだまだ低いじゃないかと思われるかもしれませんが、重要なのは金利の絶対値ではなく、トレンドです。0.1%が0.2%となれば、国債や社債の金利負担は倍となり、世界中が大混乱となります。しかし、放っておけばバブルがさらに膨らむ可能性がある。市場を軟着陸させる方法は大変難しいと言えます。

日本について考えると、量的緩和を行ってきた背景には、消費をはじめとする国内経済の低迷といった側面があり、それに今回のバブル、コロナと難問山積みです。中央銀行や政府の経済的取り組みは史上かつてないレベルで難しい局面にあります。コロナに対する景気刺激も必要だが、バブル状態になった市場をどうするか。コロナ同様、市場もこれからが勝負です。

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