ボストーク

湊町レター Letter From Minato-machi 2020年12月1日 №113

 さあ12月、今年最後の月を迎えてしまいました。新型コロナウィルスのために年末年始どころではないと言う方も多いと思いますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。いつもならこの時期は人が集まれば忘年会!でしたが、そんな空気はどこかに消え去ってしまいました。この機会に忘年会をやめる、お歳暮をやめる、年賀状をやめるという話しも耳にします。コロナとの付合いが続き、コロナ前に戻ることよりも、新しい生活に慣れようという空気ができているように感じられます。

 11月はレターを書いた直後、国内では大阪都構想をめぐる住民投票、国外では米大統領選挙が実施されました。どちらも結果については皆さんご存じの通りです。しかし、共にまだ煙が燻っている感じで、このまま素直に終わりそうもありません。

 米大統領選挙については、なぜあそこまで大接戦だったのか分からないという方もいらっしゃると思います。そんな方は「Places You Wouldn’t Want to Live in the U.S.」でネットを検索してみてください。YouTubeで米国の荒れ果てた町の風景を見ることができます。日本のシャッター通りどころではありません。米国と言えば、活発で先進的な都市の景観を思い浮かべる日本人がいまだに多いと思いますが、実態は必ずしもそうではありません。そんな空気の中で生まれたのが、今のトランプ政権であり、それを支援する人たちは決して少なくありません。民主党政権も、1枚岩ではなく、同じような厳しい生活の中から、社会主義的な発想を持つ人も同じようにいて、この国の分断は非常に深いものがあります。日本も、従来のような単純な対米追従ではなく、独立した国家としてどのような国づくりをするのか、外交をするのかをしっかり議論しなければならない時だと思います。

 しかし、その議論が今の日本政府に出来ているかというと、大いに疑問があります。組織を維持するために非常に重要なことの一つに、リスク管理があります。例えば、災害が起きた時にどのように対応するかということですが、これは何か事が起きた時に考えるのではなく、平常時にいろいろな災害を想定してそれに備えておく必要があります。そして、本当に何かおきた時の経験を踏まえてさらにそれを強化していかなければなりません。そのマネジメントが今の日本政府にできているのか。阪神・淡路大震災、東日本大震災、西日本豪雨災害や大型台風と言ったものから、SARS、MERSの経験をどのように活かしているのでしょうか。もっと直近で言えば、コロナ感染症の広がりが止まった時期に、次に想定される拡大にどのような備えをしたのでしょうか。医療機関の方はそうでもないと思いますが、国全体がホッと一息ついていたのではないでしょうか。私たちは今年1年間に目の前で起きたことをしっかり見つめて、どのように生きていくかと言うことを真剣に考える時だと思います。コロナがそのきっかけを与えてくれたと考えたいものです。

 来年が皆さまにとって良い年になりますように。