ボストーク

湊町レター Letter From Minato-machi 2021年2月1日 №115

 2021年も2月になりました。日々コロナに追われ、時間ばかりが経っていきます。コロナワクチン接種も日本国内では準備がなかなか進まないようですが、医療関係者の方の話を伺うと、ワクチンはコロナウィルスを消してしまうのではなく、感染した場合の重症化、治癒までの期間の短縮につながるだけで感染を防ぐわけではない(以前インフルエンザの予防接種をしながらインフルエンザに罹患してしまった私としては実感)。これからワクチン接種が進んだとしても、マスクを付けて密を避けると言ったライフスタイルは継続する必要がある。この夏には去年同様いったん感染者数は減っていく可能性が高いが、正念場は秋から冬の乾燥と低温のタイミングでどうなるかです。もう皆さんも実感されているように、そう簡単にコロナがいなくなることはないと言うことがハッキリしました。ここは腹を据えて、元の生活に戻ることを期待するのではなく、新しいライフスタイルに馴染んでいくと決めた方が良さそうです。

 「今後の感染が再び拡大していくということに備えまして、その危険性に備えまして、医療提供体制や検査態勢の整備などを、国として責任を持ってしっかりと果たしていきたいと思います。」昨年2020年5月14日、関東の1都3県、関西の2府1県、そして北海道を除く39県について、緊急事態宣言を解除する際の安倍首相が記者会見で述べた言葉です。国のリーダーの発言としては、至極当然のことです。しかし現実は、入院者が3400人ほどだった5月中旬には、確保を見込む病床数は全国で3万床以上あったところ、第2波の8月中旬には約2万7000床に減ったのです。

 また中期的なものとして、感染症対策の基盤となる公立病院は改革が求められ、その1つに経営の効率化が求められるようになっていました。具体的には、経営指標の数値目標を自治体が独自に設定し、経費削減や収入確保へ努力することを求められていたのです(総務省公立病院経営改革計画)。つまり、公立病院といえども税金を当てにせず、効率的な経営を心がけて利益を出せ、そうでない公立病院は統合すると。ところが、コロナ患者の治療で効率性を考慮していれば治療になりません。まずは感染拡大防止を最大の目的に医療関係者のリソースを集中的に投入する必要があります。しかし、この政策について、変更があったとは聞いたことがありません。コロナという国の緊急時対応として、マクロ面もミクロ面も、また戦略面だけでなく実際の運営面でも、ともに大きく立ち後れているというのが実態です。これを愚痴として捉えるのではなく、企業経営に活かさなければなりません。危機的な状況に陥ったときに、この道を行くべきという方向性を見いだすこと、そして実践すること。せっかくのコロナの経験を経営者として活かしていきましょう。今なら何でも出来る、そんな発想が必要な時代です。

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