ボストーク

湊町レター Letter From Minato-machi 2014年7月1日 №37

 7月。梅雨真っ盛りで、じめじめした毎日は不快ですが、梅雨が明けると暑い夏がやってきます。こちらはこちらで大変です。子どもの頃は、夏休みがあるせいか、夏のイメージって悪いものではありませんでした。しかし、温暖化による酷暑とゲリラ豪雨みたいなこともあり、最近はあまり良いものでなくなったように感じがするのですが、いかがでしょうか。

 さて、私は出張が多くて、飛行機に乗る機会が多いのですが、目的地が近づくと、「着陸まであと30分です」といったアナウンスがあります。当然、途中何もなければ、30分後には目的地に着陸します。

 それを聞くと、「この間、どのように過ごそうか?」と私は考えます。このレターを書くみたいな仕事を抱えている時は、15分程度で書き上げなければなりません(着陸直前はパソコンは使えなくなりますから)。フッと思いついたことをメモすることもあります。疲れている時は、じっと目を閉じて静かにしてることも。大切なのは、この30分という時間を意識することです。飛行機の中ではアナウンスがありますが、日常では、自分自身で意識するしかありません。そして、この30分という時間は、1年であり、10年であり、80年でもあるわけです。人生のランディングまでの時間、どうやって過ごしましょうか?

 集団的自衛権についての解釈の変更について、与党間で合意が図られ、閣議決定されました。集団的自衛権とは、日本と友好関係にある国が攻撃を受けた場合、日本自身が攻撃を受けていなくても友好国のために攻撃することが出来ると言うことです。この問題については、日本中で反対・賛成の議論が巻き起こっていますが、大切なことは、この手続きは適切に実行され(違憲の問題は別として)、決して不正によるものではないと言うことです。

 それを前提にして考えるのですが、政治の世界で、掘り下げた議論が行われていないように見受けられるのは大きな問題です。「掘り下げる」とは、具体的に言えば、憲法解釈の議論、ケースだけでなく改正の趣旨・背景についての議論、歴史の検証といったものです。国民を守るための集団的自衛権の行使と言えば、大変綺麗な表現ですが、実際は武器を持って戦う、つまり戦争状態に陥ると言うことです。過去の戦争には、自国を守るという名目で行われたものが山のようにあります。今の世界情勢を見れば、ウクライナでもイラクでも、いとも簡単に戦争が起きています。稚拙な外交能力の国が、武力行使の歯止めを意識しなくなると言うことほど、危険なことはないように思います。