ボストーク

湊町レター Letter From Minato-machi 2021年8月1日 №121

今年の長~い梅雨が終わって、夏の始まり、そして8月を迎えました。梅雨明けと同時に蝉が鳴くと言われています。今年は特に注意していましたが、本当に蝉が鳴き始めました。人間にとっては梅雨明けですが、それとはちょっと違う感覚で蝉=自然が反応しているということを知るとやっぱり自然はすごいなと思います。

さて、少し前のレターに新型コロナウィルス感染症の拡大が収まってくると実需以上にマーケットが反応し、金利が上昇する可能性があるという話を書きました。コロナの感染拡大が収まる様子は見られませんし(逆に拡大しているようです)、金利も強い上昇の気配はありません。その背景は、コロナによる経済停滞が長期間に及び、当初想定した以上に景気の状態が良くないのではないかと思われます。国内的には、多くの企業が、高齢化を背景とした硬直的な経済構造を変革できず、収益を回復する方策を立てることが出来ない面も強く出ていると想像します。ただし、一部ですが、デジタル技術を活用するスタートアップ企業の報道があちこちで取り上げられるようになってきており、ここでかなりダイナミックな構造改革が実現して、皆さんのマインドが変わっていくようなことがあれば、それは第二の敗戦のようなものですが、日本経済も復活の兆しが見えてくるかもしれません。

ところで、そんな経済の停滞ぶりを感じさせないくらいに盛り上がっているのは東京オリンピックです。連日日本人選手の活躍がテレビ、新聞などで報じられています。年寄りの戯言ではありませんが、今のこの空気、どうも素直に受け止めることが出来ないので、ちょっと書いてみます。なお、私は日本人選手が活躍すること自体、素直に嬉しいと思っています。ただ違う面も見るべきだという趣旨であることを初めにご理解下さい。何が気になるかと言えば、あまりに全面的に報道しすぎではないかと言うことです。例えば、競技を特集で報じているにもかかわらず、その後のニュースもオリンピックばかりという印象です。しかし、世界は毎日動いています。コロナであれば、国内同様中国でも感染者が増加傾向にあるとか、ワクチン接種が進む中で感染者の数が減らない各国がそれぞれ対応に追われているとか。7月29日にはオマーン湾で日本の企業が保有するタンカーが攻撃され、乗組員2人が死亡しました。これらは朝刊トップの記事ではないとしても、世界を知るためには重要な情報です。また、競技結果について、取り上げるのは日本人、しかもその結果ばかり(それも上位入賞が大半)。競技全体の背景、負けた選手や支えているボランティア、スタッフのことなどももっと取り上げるべきではないでしょうか。メダルの数も、今回のオリンピックは世界中の国がコロナで大変な思いをしている中、何とか東京までやってきてくれたのです。その姿勢には配慮すべきであるし、メダルの数は閉会してから見直せば良いことなのではないでしょうか。勝負がすべてではないオリンピックの意味をもっと考えるべきだと思います。