ボストーク

湊町レター Letter From Minato-machi 2020年8月1日 №109

 やっと長い梅雨が終わって、いつもの暑い夏を迎えました。ジメジメしているけど少し低めの気温と、湿度はないけど猛烈に暑い日とどちらを選ぶか?という究極の選択ですが、季節はめぐっていくもので選択の余地はありません。今年は、秋から冬にかけて新型コロナウィルスの第2波が来ると言われています(今の感染者増は第1波の余波とすればですが)。これも選択の余地はなさそうです。この半年の経験をもとに、早めに準備をしておきたいものです。

 今月もそのコロナについて。文藝春秋8月号にコロナ関連で面白い記事がありました。女性がトップの国はコロナ対応についてしっかり成果を出しているというものです。ドイツのメルケル首相、台湾の蔡英文首相、フィンランドのサンナ・マリン首相、そしてニュージーランドのアーダーン首相です。私の個人的な感覚かもしれませんが、病気への対応は、男性よりも女性の方がしっかりしているような印象があります。

 日本のトップがどちらかと言う議論はさておき、今、税制改正の問題として、少子高齢化、女性の社会進出というテーマを調べています。具体的には、配偶者控除や寡婦控除の問題です。数年前にも政府が優先的なテーマとして取り上げ、検討されてきました。若干の制度改正は行われましたが、抜本的なものとはなっておらず、当然成果も上がっていません。7月は役員の人事異動の季節ですが、新聞などを見ていても官民共に掲載されるトップの写真はほぼすべて男性です。これはもう空気のようなもので、日本人の大半はこのような傾向に何の違和感も覚えない、そして変化を求めていないのだと思います。つまり、「役員の3割を女性に」というスローガンが掲げられても、この空気が変わらないとどうしようもないのです。

 その空気がコロナをきっかけに変わるかもしれません。ビジネスでも密を回避するため、本社に行くのではなく、自宅でのリモートワークする機会が普通になりました。そうなると、仕事の評価は、顔を見て何となくと言うのではなく、出来上がった成果を見てと言うことになります。会議も会議室ではなくWeb上で行われるので、発言しなければ存在感はありませんし、その発言の内容もしっかり聞かれて評価されることになります。つまり、重視されるものが、空気から実力に、職階制から実力制に代わっていきます。そこに男も女もありません。

 コロナはまだまだ続きますし、ここで生まれた変化は社会に根付いていくと思われます(紆余曲折はありそうですが)。そうなると、日本でもトップが女性であることに何の違和感もない時代が来るのではないでしょうか。コロナによる変化を前向きに受け止めたいものです。