5月です。この原稿が皆さまのお手元に届くのは、ゴールデンウィーク中になりそうですが、暑くなく寒くなく、比較的好天に恵まれるこの季節を皆さまどのようにお過ごしでしょうか。
さて、今月は、仕事の将来というとっても怖い話です。
2013年9月、イギリスのオックスフォード大学から、「The Future of Employment (訳)雇用の将来」という論文が発表されています。書いたのは、マイケル・A・オズボーン准教授とカール・ベネディクト・フライ研究員です。
何が怖いか?というと、次のような仕事は、20年後99%なくなると書かれています。
電話販売者、手縫いの仕立屋、保険の審査担当者、税務申告代理者、カメラ撮影機器の修理工、クレジットカード申込の承認・調査担当者、図書館の補助員、データ入力作業員、証券会社の仲介人、ローンの審査担当者、保険の審査担当者、スポーツの審判、弁護士の秘書、会計業務担当者、銀行の融資担当者、苦情処理係等々です。調理師も生存確率は4%です。生存確率が高いのは、セラピストやメンタルヘルス等のヘルスケア系でメンタルな部分に関わる職業です。
なぜそのようなことになるのかと言えば、消失する仕事の多くは、AI(人工知能)の発展に伴ってコンピュータが取って代わるからだとされています。
ご存じのように、新しい車の「売り」は、障害を察知して自動的に止まる機能です。これを進化させたものが、自動運転です。また、将棋や碁の世界でも、コンピュータが人間に勝ったという報道をよく見かけます。スマホでも、語りかけると調べ物をしてくれるようになりました。自分で自分の首を絞めるような話しですが、税理士が日常行っている仕事の大半(会計や申告書の作成)は、コンピュータがやってしまうことになりそうです。実際、ネットバンキングや過去の経理処理の経験則から、仕訳は自動的に処理する技術は現実的なものとなっていますし、申告書もかなりの部分はソフトウエアが処理します。
もちろん、人間の作業がすべてなくなってしまうことはないと思いますが、10人でやっていた作業が、3人で可能になる世界はすぐにでも来てしまうような気がします。
ここでの問題点は、そのような最先端の世界を理解しておくこと。取り上げた論文も、単なる予想ではなく、現実的な理論を元に結論を導いています。20年後なんてまだ先、と考えることだけはやめたいものです。