10月です。今年は、日照りのような暑い夏の後、長雨と台風襲来の秋になってしまいました。天候不順による野菜の高騰も気になるところですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、先日、某所で、相続税のセミナー講師を務めました。講演の内容は、昨年の基礎控除の4割引き下げから相続税が身近なものになってきたこともあり、実務家としての対応についてでした。日本の相続税は、基礎控除が5,000万円+1,000万円×法定相続人だった平成26年のデータとして、亡くなる方の4%近くの人が対象になっています。ちなみに、四国を管轄する高松国税局管内で言えば、徳島3.47%、香川3.56%、愛媛3.23%、高知2.19%となっており、4県で特徴が出ているように思えます。
さて、問題はその相続税の内容ではありません。この比率は、人口動態統計と国税庁のデータを組み合わせて計算したのですが、前者の人口動態統計で気になったことがありました。
日本の人口は1億3,000万人あまりで減少傾向にあるというのは、皆さんよくご存じだと思います。では、どのくらい減っているのでしょうか?
日本全体で見ると、出生数1,003,539人、死亡数1,273,004人、差引269,465人の減少となります。つまり、松山市の半分くらいの人口が減っている計算です。ちなみに、秋田県の場合、出生数5,998人、死亡数15,096人と、生まれてくる子どもの3倍の人が亡くなっています。比率はそこまででないとしても、東京都も同様であり、出生数が多い県はほとんどありません。なお、愛媛県は、出生数10,696人、死亡数17,480人、八幡浜市では、出生数188名、死亡数513名と、秋田県同様出生数の3倍が死亡数です。久万高原町に至っては、出生数35名、死亡数206名です。
改めてこの数字を見ると、地方の集落、町としての機能が喪失している背景を理解することができます。人口が増えることが単純に良いとは言いきれないかもしれません。若い人が増えたからと言って、生産性の高い産業を維持できない地方では、それに応えられるだけの雇用を提供出来るか分からないからです。しかし、若い人の存在は町の元気につながります。私が高校時代に住んでいた八幡浜市の商店街は、空いてる店舗はほとんどありませんでしたが、今はまったく逆。たまに開いていても、その風景は30年前のままで、まるで映画を見ているみたいです。これはほとんどの地方都市も同じ状況です。
人が減る、産業が減る、この実態を数字として確かめて、すっかり寂れた風景と重ね合わせて、さて私たちはどうすべきか。現代日本にとって、喫緊の課題です。