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湊町レター Letter From Minato-machi 2016年1月1日 №55

 2016(平成28)年を迎えました。今年は、御用納めの12月28日が金曜日、仕事始めの1月4日が月曜日と言うことで、いつになく短い冬休みだったという方も多いのではないでしょうか。年末から比較的良い天気が続き、年明けからは寒さも緩んで過ごしやすかったようですが、皆さまはどのように新年をお迎えでしょうか。

 年が明けると、税金の世界が動き始めます。「今月の税務」にも書いてあるように、年度末に向けての作業が目白押しです。そして、来月には確定申告。確定申告と言えば、税務署は、通常、土日祝祭日はお休みですが、この期間に限り、日曜日に開庁されます(今年は2月21日、28日の予定です)。その際の来場者に、アンケートを取るのですが、大変好評です。しかし、これはある意味当然で、日曜日に都合の良い人が大半な訳で、そもそもアンケートを取る意味があるのだろうかという感じです。

 昨年末にマスコミを賑わした消費税の軽減税率。その後の世論調査によると、大変好評です。国民にとって、モノの価格は安いのは当然良いことで、評判が悪いわけはありません。報道するマスコミも、定期購読契約が締結された週2回以上発行の新聞に軽減税率が適用され、批判的な記事を書きにくくなっていることもあるかもしれません。

 ところで、このアンケートですが、軽減税率を「良いか悪いか」という設問が問題のように思います。政策をより具体的に考える設問として、例えば、「歳入問題に答えがないまま軽減税率を導入するのが良いか」、「場合によっては社会保障政策を見直さなければならない軽減税率に賛成か」「無条件に税金は安ければ良いか」といった設問の方が、軽減税率の課題を浮き彫りにさせることが出来ると思われます。

 その軽減税率は、実務界では決して評判が良いとは言えません。消費税先進国のEUでは、その問題から、廃止論まで出ています(現実にはいったん下げた税率を引き上げるのは困難でしょうが)。これに技術的なインボイスという問題もあります。なぜ軽減税率が問題なのかという点は、別の機会に詳しく説明したいと思います。

 国民の感覚として、税金は安い方が良い、だから税金を安くする政策は正しいのだという感覚がもし政治の中で普通にあるとすれば、それは国の財政だけでなく政策全般を考える上で大変危うく不安なことです。

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