ボストーク

湊町レター Letter From Minato-machi 2016年8月1日 №62

 ついに夏本番、8月となりました。気がついたら、すごい蝉の声。梅雨明けから本格的な雨もほとんどなく、高い気温の日が続いています。暑さを我慢すると熱中症になってしまいますし、冷房に当たりすぎると風邪を引いてしまいます。そうでなくても、起きているだけで体力を消耗してしまう季節です。スペイン人のように、昼間は長く休んで夜を楽しむ余裕を持ちたいものです。

 さて、今年夏の国内の政治イベント、参議院選挙と東京都知事選挙が終わりました。参議院選挙では、与党が憲法改正に必要な2/3の議席を獲得し、与党圧勝という報道が多かったようです。都知事選挙では、自民党出身の小池百合子氏が自民党候補を破って当選しました。この2つの選挙報道について思うことは、参議院選挙については、確かに与党が勝ったとは言えますが、2/3を獲得できたのは、前回の参議院選挙で本当に圧勝したからであり、今回の選挙はそれから比べると、その勢いは、やや沈静化の傾向が出ていているということです。これは、安倍政権の勢いが、過去2年間と比べて少しずつ変化しているのではないかと思われます。都知事選挙については、自民党候補も健闘しましたが、与野党各支持層のかなりの割合の有権者が、小池氏を支持しています。これも、参議院選挙と同様、安倍政権への支持の変化が表れているように思えます。

 問題は、これに対するマスコミの対応です。参議院選挙について、与党圧勝、野党惨敗という表現ばかりが目につき、国民の視点の変化に触れた記事はあまり多くありませんでした。都知事選挙についても、確かに、安倍首相は、桝添前知事の時と異なり、前面で応援することを控えて上手に立ち入っていたとは思いますが(野党の候補者選びにも救われた感があります)、やはり有権者の変化があったように思えるにもかかわらず、そこには触れないで、小池新知事の個人的な背景ばかり伝えていました。

 政治の中身以前に、状況を正確に伝えられない(伝えない?)報道の姿勢は、大きな問題です。特にこれから、国内では、憲法改正に向けての具体的な動きが始まると予想され、海外では、国内の亀裂をこれまでにないくらい深めると予想されるクリントン対トランプのアメリカ大統領選挙、フランスからドイツに広がったISによるテロの問題等々、政治について考えなければいけないテーマは盛りだくさんです。マスコミは、まず豊富な知識と理解を持ち、正確な情報を国民に対して伝えなければならないと思います。

 ここのところ、重たい政治の話題が続きました。次回は、ちょっと楽しいテーマを探し
てみたいと思います。