3月、弥生、春です。会計ソフトに、弥生会計というものがありますが、この弥生とは、確定申告の3月という意味だそうです。ここに来て厳しかった冬の寒さが少しずつ緩みつつあります。松山では、春を告げる椿さんが終わってからも、気温の低い日が続いていましたが、やっと暖かい陽射しが降り注ぐようになってきました。
3月と言えば、会社や役所の年度末ですが、その前にあるのが確定申告です。
私どもにとって、今年の確定申告は25回目の作業となります。以前にも書いたことがありますが、所得税の確定申告は年に1度。お客様が事務所に資料を持参されて、1年ぶりにお目にかかることになります。そうなると、当たり前のことですが、お互いに1つ歳を取っています。25年前に50歳だった方は、今年75歳になります。出発点によりますが、扶養親族で赤ちゃんだった子どもさんが、学校を卒業し、就職し、場合によっては結婚している可能性もあります。その過程で、所得税の計算も変わってきます。結婚して子ども(本人からすれば孫)ができれば、1,500万円まで非課税となる教育資金の贈与の検討をすることもあります。さらにその延長線上には、ご自身の相続税の問題です。このように、確定申告は、税金の世界からお客様の人生を見る少しセンチメンタルなときでもあります。それに春という季節が重なります。
確定申告を少しマクロ経済的に見ると、私どもの事務所が開業した25年前は、松山市内にも自営業者がそれなりに多い時代でした。その後、小売商店、建築業、自動車修理業、鉄工所その他様々な個人業者の人たちは、後継者に道を譲ることなく廃業するケースが増えてきました。地域の商店街が衰退するのと同じです。これも時代と言ってしまえばそれまでですが、日本経済が構造的に抱える深い問題です。ここにも確定申告は関わっています。
所得税は日本の税の柱の一つです。経済の大きな流れがそれに影響を受けます。また、年金や医療費控除その他の控除のように、その人の生きる環境が税額に関係することもあります。税理士は、そのような場に関わることで、いろんな事を考える機会が与えられていると言えます。
などと書いていると、仕事に追われるスタッフに怒られてしまいそうです。今月はこのあたりで・・・。