今年も早いもので、4月になりました。寒かった冬もやっと終わったという感じ。桜の花もしっかり咲いて、春を満喫されている方も多いと思います。
さて、今年の春は、何と言っても消費税率の引き上げという大テーマです。引き上げ前の3月は、バブル時を彷彿とさせる光景があちこちで見られました。町中で渋滞が見られることも多く、建設業では、資材や人材不足の報道がありましたし、自動車から日用品まで、かなりの駆け込み需要があったようです。この反動がどのようなものになるのか。民主党政権で引き締めてきた公共工事が自民党政権になって復活したことと金融緩和で、建設業の好況はまだまだ続くという声と、わずかな値上げで4月になった途端に来店者数が激減したという声など様々ですが、どちらが正解でしょうか。このまま両極端な動きが続くのか、それとも、再び冷え込んでいくのか、注目したいところです。
この消費税の問題と合わせて注目したいのは、経常収支です。経常収支とは、貿易・サービス収支、所得収支の合計です。貿易収支とは、まさに貿易による収支で、輸入が増えれば赤字、輸出が増えれば黒字になります。輸出立国であった日本は、過去、この貿易収支で黒字を維持してきましたが、ここに来て大幅な赤字に転じています。円安になると、日本の生産品は競争力を持ちますので、輸出が拡大し、黒字になるはずです。震災による天然ガス等の輸入が増えていること、生産するための原材料を当初は輸入しなければならないこと等から、一時的な赤字とも考えられましたが、一向に改善の気配がありません。これをどのように考えるか?明確な統計等の裏付けがあるわけではありませんが、長く続いた円高の影響、国内の少子高齢化、そして新興国という新しい市場の誕生等から、国内にあった製造業の多くは、この10年近くで、海外に移転してしまったのではないでしょうか。周りを見渡しても、新設の工場を見かけることはほとんどなくなりました。タイやベトナムのような東南アジアに、愛媛の人でも普通に出張していますし、大手の監査法人でない会計事務所でも、シンガポール等に進出しています。人の流れは物の流れであり、日本という国の体質が、大きく変化しているのではないかと思います。
であれば、円安は果たして日本にとって良いことなのか?貿易収支の中には、サービス収支と言って、外国人旅行者からの収入も含まれます。外国人にとって円安は良いことなので、日本に来る動機にはなります。が、それは非常に限定的な話しであり、もっと深い問題がありそうです。残された行数でこの先を書くのは難しそうです。この続きは次回に。それまで、春をしっかりお楽しみ下さい。