10月になってしまいました。事務所のある松山は、秋祭りの月です。郊外の田んぼもほぼ稲刈りが終わり、収穫の季節を迎えたことを実感します。さすがに10月になると、気温が下がってきます。布団を出すタイミングを逸して寝冷えなどすることがないようにご注意ください。
さて、今月もしつこくマイナンバー(番号制度)のお話しです。
マイナンバーについては、通知カードの配布時期が迫り、具体的な話題が飛び交うようになってきました。最近、この番号の利用が広がることで、夜の街が消えてしまう?といった報道がされるようになってきました。マイナンバーと歓楽街はどんな関係なのでしょうか。
税務上、スナックやキャバクラなどで働いている(通常は)女性の報酬については、ホステスとしての源泉徴収(実は、ホステスは、自営業とみなされ、給与とは別の計算で源泉徴収制度があります)が行われ、最終的には確定申告をする必要があります。しかし、実際には、店が行う源泉徴収の作業もいい加減で、ホステスも真面目に確定申告する比率はかなり低いようです。また、架空の人に給料を払ったことにする水増しが行われているケースもあるかもしれません。このような状態でマイナンバー制度が施行されると、(正確に番号を記入されるようになると)その収入が税務署や市町村にしっかり把握されてしまいます。また、昼間は会社で事務職を勤めながら、夜はバイトでホステスをやっているようなケースでは、会社に夜のバイトがばれてしまう可能性が高くなります。会社で仮に副業が認められたとしても、今まで以上に税金や社会保険料がかかってくる可能性があります。そうなると、夜の街は働き手がいなくなり、ネオンが消えてしまう=男性?のストレス解消の場所がなくなってしまうかもしれません。
ここにはいろいろな問題があります。収入が増えれば、税金が増えるのは当たり前であり、マイナンバー以前の問題だという話。夜のバイトをするのは、昼間の給料が少ないことが原因であり、問題はそのような雇用環境が問題なのだという話。マイナンバーが実施になっても、夜の町とそこで働く人たちはタフだから、いろんな工夫をしながら、抜け道を探していくのではないかという話。例えば、これからのスナックは、ホステスの女性を雇うのではなく、ホステスが接客する場を提供するレンタル業となれば、マイナンバーを記入する税金の調書は作成しなくて良くなるとか、現場からはいろんなアイデアが出てきそうです。経済的合理性の追求は悪いことではないのですが、実質的な活動には変化がなく税金だけ少なくしてしまう租税回避的な対応には要注意です。