ボストーク松山藤原塾

今週も勉強でした

今日4月15日の松山の最高気温は12度。

明日からやっと暖かくなるそうですが、今日の気温では、松山でも冬物は手放せません。
早めにクリーニング出さなくて正解!でした。

さて、あまり注目されていなかったような気がしますが、3月31日税制改正法案が参院本会議で可決成立され、新年度の税制が4月1日から施行されました。
与党の議席過半数割れという中で、本当にギリギリの成立でした。
「法律が施行される」とは効力を持つ=実際の社会で運用されることになるわけで、法律を細かく運用するための政省令も一緒に交付されることになります。
可決されてからこれらの規則を整備するのではなく、昨年夏から始まった税制改正要望とそれに関連する検討を経て、官僚中心に事前の準備が進められていたことで、翌日の施行も可能になります。
これに対して、米国の政策は大統領がいったん発表したにもかかわらず、24時間経たないうちに変更されてしまって予測不可能な状態です。
単純比較はできませんが、米国の混乱はますます深まっているように思えます。

そのトランプ政権が発足して3ヵ月。
就任直後から矢継ぎ早に大統領令を発して様々な改革に着手してきました。
そこには、日本の税制改正法案のような緻密さとはかけ離れた世界があります。
マスコミも野党民主党も、そのスピードと変化の激しさに圧倒されて、呆気にとられている感じでしたが、ここに来て政権の課題、問題点を正確に突いた動きも出てきたようです。
今週は米国の様子を振り返ってみて、私たちがどうすれば良いかについて考えてみます。

金融市場をよく見てみる

先週のメールを発信した後、乱高下した株価は少し落ち着いてきました。
下げ止まったという感じで、不安材料はたくさんあります。
世界の金融市場は、株式だけではありません(このあたりは藤原先生がとても詳しいところです)。
円ドルなどの為替、債券=金利、石油や金などの商品(コモディティ)と多岐に渡ります。
これらの市場は、株式と違って簡単に見ることが難しいですし(日経ネット版やYahooを深読みすればある程度分かります)、価格変動の仕組みもちょっと複雑です。
トランプ大統領が相互関税の発表をした直後に、上乗せ部分を90日間停止することにしたのは、米国から資金が流出し、為替や債券市場で大きな変動があったためといわれています。
米国の資本市場は、その国債を日本や中国が大量に持っているように、世界とつながっており、ちょっとしたショック状態になったと言われています。

気にしない

世界の動きを見るために、株価だけでなく、為替、債券、金や石油の動向を見ることは大切です。
しかし、毎日どころか、数時間の間に何本も流れてくる米国や関税に関連するニュースを追いかけるのは大変ですし、疲れます。
NISAやiDeCoなど、自分が持ってる金融資産がどうなるか考えると、神経が持たないかもしれません。
気になることはあるかもしれませんが、米国の動きを考えすぎないことです。

外交について考える

トランプ政権は関税について、出したり引っ込めたり、中国との間ではけんか腰になったりと大変な状況です。
最初は国内向けの政策が中心でしたが、関税のような世界を巻き込むものになると、大混乱となって収拾がつかなくなってきたというのが実情ではないかと想像します(トランプはそれでも良いと思っているはずですが)。
この状況を理解するために必要なのは、国別の外交の個性です。
米国はあまり外交上手ではないといわれています。
軍事力、経済力といった自分たちのパワーを背景に強気に出てきますが、柔軟さには欠けます。
これに対して、欧州は手強くて、表面的には柔らかく話し合い重視ですが、最終的には自分たちの利益となるようなルールを作り込んでいきます。
中国もそれに近いものですが、表面的には柔軟に見えて、理念よりも実利を優先するこちらもなかなか手強い相手です。
そして日本は、よく言えば協調バランス重視型で対立は避け、地道に信頼構築を図ります。
どの国よりもお人好しと言えるのではないでしょうか。
ここまで、ChatGPTと話し合いながら考えました。
今後、世界で新たな経済環境が構築されていく可能性があります。
各国外交の個性を意識しながら注目したいと思います。

米国の衰退はあるか?

トランプ政権は、関税だけでなく、移民の排除や多様性の否定といった政策を取っています。
また、リベラルな大学に対しても圧力を強めており、研究者の多くは米国を離れようとしていると言われています。
移民がいなくなると言うことは、消費や納税という意味でマイナスとなるほか、国としてのイメージも悪化します。
メキシコ産ビールの米国への出荷量が、昨年12月〜今年2月にかけて前年同期比2%減少したとの報道もあります。
経済的に見ても、今の改革のまま、基軸通貨としてのドルを維持できるのかというコメントも見かけます。
また、米国離れを柔軟に受け止める中国の存在も無視できません。
ただし、トランプ政権が永続するわけではなく、もし国として正常であれば、次に代わる政権が新たな政策を打ち出し、魅力ある米国が復活する可能性もあります。
4年先を見越せば、トランプで米国のすべてが終了ということにはならないと思います。
当面は衰退に向かう可能性はあるかもしれませんが、次の変化がどうなるかを良くみておくべきでしょう。

日本はどうするか?

ここが最大の問題です。このような状況で日本はどうするか?ニクソンショックの時も、日本経済は危機的状況に陥ったわけですが、なんとか切り抜けてきました。そのパワーが今も残っているか、これから新しく生み出すことができるか。ただ勢いに押されているだけでは解決できませんから、米国との交渉に加えて、中国をはじめとするアジアや欧州との連携など、視野を広げて考える必要があります。日本としてどうするか?というのはちょっと壮大なテーマですが、愛媛県としての対応を考えてみましょう。タイミング良く、4月14日、日本銀行松山支店が「愛媛県の2024年輸出動向」というレポートを公表しました。
これによると、2024年の愛媛県の輸出額は7796億円、この内米国向けは4.3%の332億円です。
品目別に見て米国向けの比率が高いのは、下記のようなものです。
・金属鉱やくずなどの原材料 32%
・電気機器 16%
・食料品及び動物 13%
食料品とはブリの切り身などです。
近隣の韓国には活魚が出荷されていますが、米国は遠距離なので加工品が多いようです。
米国への輸出の動きを見ながら、新たな市場開拓の可能性はあるのか、そのためには何をすべきなのか?
簡単ではないですが、それぞれの分野で考えていかなければなりません。

今週もちょっと長くなりましたが、米国の動きを中心にいろいろな問題を振り返ってみました。
トランプ大統領によって混乱は生じていますが、見方によっては今まで蓄積された問題が噴き出してきたとも言えます。
貿易に関わる当事者でない私たちにとっては勉強の機会だと考えましょう。

4月からMacで日本語のAIを利用することができるようになりました(アップルの場合は、AppleIntelligenceのAIです)。
メールの通知ではその内容が簡単に表示されますし、長いメールの要約もやってくれます。
ちょっとしたことですが、この変化がつながって、明日はどんなことができるんだろうと考えるのは楽しみです。
Macを作っているアップル社はご存じのように米国の会社です。
米国はダメだと切り捨てるのではなく、幅広く世界を見ていくことは大事なことですね。