新しい年、2015年を迎えました。今年は、12月27日から1月4日までの長い冬休みという方も多かったと思います。日本列島全体が大変寒いお正月でしたが、皆さま、どのような年末年始をお過ごしだったでしょうか。
年末と言えば、毎年12月半ばに翌年の税制改正大綱が発表されます。しかし、昨年は、衆議院議員選挙の関係で、年末ギリギリの12月30日の発表となりました。今回の改正について、新聞報道では、法人税の減税や贈与税の特例制度の拡充等が取り上げられていますが、今年から施行される相続税の基礎控除引き下げのような話題性の高い改正はあまり見当たらないようです。しかし、国際化と納税環境の整備(これは、国税関係者がよく使う言葉で、当面は、いわゆるIT化や税務に関するデータベース化と考えれば良いと思います)の2点にも注目したいところです。
国際化とは、国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の創設です。これは、長期間国外に引っ越す場合に、保有している有価証券等を決済したものとみなして課税をする制度です。課税されるような有価証券を持っていて、国外に引っ越すといういわゆる富裕層が対象となりますので、一般的なものとは言えませんが、このような制度ができると言うことは、国内の富裕層が、国外に出て行くケースが多くなっているという裏返しでもあります。
次に、納税環境の整備とは、3点ほど。1.▲マイナンバーと言われる番号制度を預貯金情報等の効率的な利用に活用しようという仕組み。2.▲その年の所得金額2,000万円超の場合に提出が求められる「財産債務明細書」について、書く内容が整備され、取扱が厳しくなること。3.△契約書や領収書等をスキャンして保存しておけば、現物は破棄することが認められること。ちなみに、数字の後の▲は納税者に厳しいと思われるもの、△は緩和されると思われるものです。
ところで、法人税の税率引き下げですが、単に税率が引き下げられるだけでなく、その財源確保のために、従来の減税措置が縮減されたり、課税が強化されることことが並行して行われます。こちらの方も良く調べておきたい項目です。
なお、今回の改正大綱は、今後法案作りが行われ、通常国会で、来年度の予算案と共に審議されます。現在の政治情勢から、ほぼ原案通り可決されると思われますので、早く情報を入手して、今後の経営に活かしていただきたいと思います。
それでは、今年が皆さまにとって良い年であることを祈っています。