F&Aレポート

結婚式で長い髪をそのまま下ろすのはマナー違反?

結婚式で長い髪をそのまま下ろすのはマナー違反?

 「結婚式に招かれた女子が、長い髪を束ねずダウンスタイルにしていた。これはマナー違反ではないか?」という記事がネットで話題になっていました。

 マナー違反かどうかが気になるところですが、結論からいえばマナー違反ではありません。かといって推奨されるものでもありません。

 結婚式はフォーマルな場所です。服装も髪型もフォーマル。「きちんとした感じ」に見える方が新郎新婦やご両家に対して、また列席した方々やその場の空気に対して違和感がありません。そのため、女性の髪型ならアップスタイルに小さくまとめる方がふさわしいとされています。

 また、たとえシャンプーのCMのように手入れされた綺麗な髪だとしても、長い髪をそのままおろしたスタイルだと、食事をする際に抜け落ちた髪の毛が、料理やテーブルに落ちるかもしれませんし、髪の毛をかきあげるしぐさもNGです。お辞儀をした時も髪の毛が垂れて顔を覆ってしまうかもしれません。いずれも他者に不快感を与える行為です。

 それなら「マナー違反じゃないか!」と言いたくなる人もいると思いますが、マナーとして決まっているわけではないのです。マナーは、すべての物事を細かく黒か白かとはっきりさせる規則ではありません。

 そもそもマナーの発端は、西洋であれば、病んだ人を癒す「ホスピタル」(=ホスピタリティ)。日本であれば、茶の湯に通じる「おもてなし」や、お互いが気持ちよく暮らしながら商売できるようにと定まった知恵「江戸しぐさ」にあります。

 いずれも根底にあるのは「思いやり」。強制したり人を非難するものでもないことを、あらためて胸に留めておきたいと思います。価値観や生き方を自由に選択できる多様性の時代、黒か白かと決めつけられない「グレーゾーン」は増えてくるしょう。だからこそ、マナーに対する心得はますます重要になると思い知らされます。